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奈良で買った種木で園芸を始めました

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こんにちは。京都で刺繍の仕事をしております長艸歩と申します。
朝夕の涼しい風にきもち癒される季節になりましたね。

最近、各所の園芸コーナーが賑わっているというニュースをみました。確かに!
私も植物に触れていたいという欲求が増してきて、夏前からお花のお稽古に通うようになりました。

控えめな山野草の可愛いこと。

今度は育てたい欲も出てきたな〜、とネットを回遊していたところ、おとなり奈良県に和の植物を扱う「塩津植物研究所」さんという素敵なお店を見つけました。お店をなさっているのは同世代のご夫婦のよう。お会いしてみたくなり秋晴れ気持ち良い日に伺ってきました。

 

自宅から2時間弱、市街を通り抜け細い路地を曲がった先にあらわれた青々しい風の抜ける空間。お子さんを抱っこしながら水やりをしていたお店の奥さまが迎えてくださいました。

 

たくさんの種木を前に検討もつかない私。
「ヒョロ〜っとしたものか、実のついたもの」というかなり大雑把なイメージをお伝えし、棚の間を一緒に歩きながらおすすめの木を紹介していただきました。同行した夫はお店に入って一瞬で小さなニレケヤキに決めた様子。「ネットで色々調べてくるより、パッとみて目が合う子が意外と相性いいんですよ」とのこと。
私はフィーリングが鈍いのかもしれない…花が咲くのも可愛いし、紅葉も捨てがたい。あれもこれも!と、だんだん頭が沸騰してきます。

 

「ハイライトの時季が違う木を選ぶと一年を通して楽しめますよ」というアドバイスをいただき、夏に花咲くネムノキ、秋に色付くハゼ、冬も葉が落ちないトキワサンザシ。そして夫の選んだ春の萌芽が可愛いニレケヤキを加え、四季をめぐる4種を選ぶことができました。

それぞれに合う鉢を選び、敷地奥のアトリエへ。植え替えを見学させていただきました。
虫の予防や冬の過ごし方など丁寧に説明してもらっているうちに育てる自信が湧いてきます。

丁寧に根をほぐしていく。
新しい鉢がよく似合うニレケヤキとトキワサンザシ。
苔を切ってパズルのように植えていく。所作も美しい。

平面の刺繍と立体の盆栽。かけ離れたもののようですが見えない部分の仕事を丁寧にすることや、無闇に「長く触りすぎない」ことは共通しているのかな。と無駄なく動く手元を見ながら思いました。

 

帰宅後、床の間に据えた姿があまりにもハマったので思わずメッセージを差し上げました。困りごとがあればメールなどリモートでも対応してくださるとのこと。種木はお取り寄せもできるようです。
相談できる方と出会えて、植物との距離がまた一段と近くなったのでした。

塩津植物研究所
〒634 - 0008 奈良県橿原市十市町 993 - 1
9:00 - 17:00 / 水・木 定休

 

<歩さんの義父、長艸敏明さんの書籍はこちら>
『繡えども繡えども』

著者 長艸敏明
A24判 192ページ/ 講談社

長艸敏明氏は歩さんの義父。刺繡作家、京繡伝統工芸士である氏の作品集が出版されます。着物や帯のほか、季節ごとのしつらえや婚礼衣装などの祝い着、祭事の修復や復元まで京繡の第一人者である著者の“刺繡の力”を堪能できる100点を掲載。

「仕事で1泊カンヅメ日記「今こそホテルで自分のための非日常を」」はこちら>>