フリーランスってどんな働き方をしている人のこと?フリーランスに向いている人って?フリーランスのデメリットは?14年間フリーで働いてきた編集者が本音で語ります。

 

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フリーランスとは何?フリーランスの定義は?フリーランス人口は?

「親の死に際に立ち会えない覚悟で」言われたフリーランスの働き方とは?向いている人、向いていない人_img0
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2020」より掲載。

コロナ禍で新しい働き方が広がり、注目を集めているフリーランス。では、そもそもフリーランスとはどういう働き方のことでしょうか?
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が作成した「フリーランス白書2020」によると、フリーランスとは「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人」と定義しているそう。
会社などに雇用されておらず、業務委託や自営で、自分の名前で働く人たちのことになりますね。

「フリーランス白書2020」によると、日本国内における2020年の広義のフリーランス人口は462万人になるそうです。


フリーランスは自由?いや、むしろ自由はない?!

「親の死に際に立ち会えない覚悟で」言われたフリーランスの働き方とは?向いている人、向いていない人_img1
 

私はフリーランスの編集者として働いていますが、“フリーランス”という響きやイメージから、結構自由に楽しくやっているように思われることが多いんです。
確かに、私自身は好きなことを仕事にしたくてこの道を進んだので、仕事とプライベートの境界線がなくてもストレスがなく夢中になれるくらい楽しくやっています。

でも、仕事で成果を上げていかないと、継続してその仕事をもらい続けることができるかわからないし、新たな仕事を開拓するのも難しくなる。そして、大きな失敗をしてしまうと、二度とその仕事はもらえなくなってしまうかもしれない。これまで14年間フリーランスとして働いていても、いまだに来月の仕事はちゃんとあるだろうか、という気持ちが消えません。

それでも続けられるのは、この仕事が好きだからなんですけどね。あとは、こんな刺激的な状況でもワクワクできる好奇心が強いタイプだからというのもあるかもしれません。

経営者から教わった、フリーランスとして生きていくための覚悟とは?


私はフリーランスになる前の会社員時代に「自分が本当にやりたいことを仕事にしたい」という気持ちから、起業塾に通ったり、個人事業主で生きていくため手に職をつけられる資格取得を目指したりしていました。
そのときに言われて強く印象に残っているのが、経営者や個人事業主、フリーランスとして生きていくなら「親の死に際には立ち会えない覚悟が必要」ということ。
会社員のように、誰かがいなくなっても誰か他の人がやってくれる、という環境ではないし、自分の名前で仕事をしていくことになるので、もし親が危篤状態になっても代わりがいないから仕事を休むことはできない。それができないなら、独立するのはやめておいたほうがいいというアドバイスでした。
もう15年以上前に教わったことですが、これは今でも心に刻まれていて、大変なときでもこの言葉を思い出し、自分を鼓舞しています。


フリーランスになって14年。デメリットに感じていることは?

「親の死に際に立ち会えない覚悟で」言われたフリーランスの働き方とは?向いている人、向いていない人_img2
 

以前、仕事の取引先と収入面についてのメリット、デメリットについて書いたので、今回はそれ以外の視点で考えてみようと思います。

いちばんのデメリットは?と聞かれたら、やはり以前も書いたように、仕事の量が安定していないので、仕事がなくなると、収入もなくなってしまうこと。でも、この点は仕事がなくならないように努力すればいいだけだし、年齢を重ねても仕事がなくならないように、これからは将来に向けての新しい道を作っていこうと思っています。

好奇心旺盛で、好きなことをやっていれば幸せで楽観的で、風邪もほぼ引かないタイプの私にとって、フリーランスでいることはそんなに大変だと感じていないのですが……会社員と比べると、社会的な信用がない立場なので(汗)、もしマンションを購入したいと思った時のハードルが高いのはデメリットですね。

また、小さなことですが、子供関係の書類に保護者の勤務先を書く欄がある場合、仕事の拠点がないフリーランスなので、書ける住所がないと困ったこともあります(笑)。

真面目な視点で言うと、会社員のように厚生年金がないですし、会社が半分負担してくれることもないので、国民年金の支払額が高いのに、老後の年金が少ないと言う問題はありますね。

意外に思われるかもしれませんが、意外と休みが取りづらい点もあります。
基本的に仕事をいただく立場なので、いくら子供の長期休みがあっても、取引先が休みじゃなければ休まないようにしています。代わりに取引先も休みであることが多い年末年始は会社員の方よりも長めの休暇を取っているので、ストレスはありません。

フリーランスになって良かったとメリットに感じていることは?


「たったそんなこと?」と思われるかもしれませんが、私がめちゃくちゃメリットだと感じているのは、毎日満員電車に乗らなくて済むようになったこと。毎朝、ギュウギュウ詰めの電車での通勤がもう苦痛で苦痛で。知らない人と密着しているだけでなく、わざと肩でガン!と押してくる人もいたし、割り込み乗車する人もいたし、会社に到着するまでにストレスでヘトヘトになっていました。通勤ラッシュの電車に乗るというストレスがなくなっただけでこんなに晴れやかな気持ちで1日をスタートできるんだと実感しています。

あとは、人間関係で悩まないでいい。
会社員時代は職場にお局がいて、新人時代はときどき嫌味を言われていました(笑)。同じ会社の同じ部署で働くメンバーだから、どうしても顔を合わせなきゃいけないので、結構ストレスでしたね。今は、長い付き合いの取引先もいますが、フリーランスという立場でお世話になっているので、人間関係のしがらみに悩まされることはありません。どうしても嫌だと思われたら、ただ仕事のオファーが来なくなるだけ(汗)。

自分がしたい働き方に合わせて、自分で舵を切ることができるのもメリット。
私はスケジュール的にどうしても難しいと言う場合を除いて、基本的にはいただいた仕事は断らないスタンスで働いていますが、たとえば子供が小さいから、子供の受験があるからなどで、仕事のボリュームを抑えたいと思えば、自分で仕事を受ける量を調整することができます

また、フリーランス編集者の私の場合、紙の媒体で仕事をしたいのか、ウェブの媒体で仕事をしたいのか、ファッションの分野がいいのか、ビジネスの分野がいいのか、広告の仕事がしたいのか、進みたい方向が明確であれば、それに向けて自由に動くことができます。会社員の人事異動のように、「今日からここの部署で!」と勝手に決められることがなく、自分の意思で動けるのが気に入っています。まぁ、「もう来月から仕事がありません」と取引先に言われてしまったら、終わりですけどね……(汗)。

構成・文/高橋香奈子

 

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