再開の許可が出ても定員の上限がつけば確実に赤字

人気店も続々閉鎖……L.A.とNYのヨガスタジオが絶滅寸前の理由_img0
先月、コロナのためにクローズを決めたL.A.のOmkar 108 Ashtanga Yoga スタジオ。今もオンラインでのクラスは続けている。photo by Yuki Saruwatari

ヨガスタジオ経営も、ヨガインストラクターという職業も、もともと、思うほど儲かる商売ではありません。L.A.やニューヨークという不動産がバカ高いところで、狭いなりにもスペースを借りるには、いつもほぼ満員という状態でなければいけません。それでなんとかやっていけているのに、もしもこの後、再オープンが許されたとしても、定員の25%が上限という条件を付けられたら、完全に赤字です。インストラクターも、生徒ひとりにつきいくら、という給料体系になっているため、数人しか入らないとわかっているクラスを教えても、まるでお金になりません。しかし、呼吸をし、汗をかくヨガは、コロナ禍において危険が高いのは明白ですから、ソーシャルディスタンスを守りながらやるには、それ以外の方法はありません。コロナ禍でも雇用を守る会社や店に対し、連邦政府が出す助成金も、アメリカでヨガインストラクターは社員ではなくフリーランスであるため、対象にはなりませんでした。

 

そんな中でも、いつも天気の良いL.A.では、公園で3、4人の生徒を集め、マットとマットの間隔を十分に開けてヨガを教えている先生を、時々見かけます。スタジオを閉めた先生たちには、オンラインに移行し、クラスを続けている人も少なくないようです。しかし、いつも同じクラスに行って、知っている顔に会い、クラスが終わった後、たまには隣のスタバでちょっとお茶をするというのは、もはや懐かしい思い出になりました。スタジオがなくなっても、ヨガは残ります。それでもやはり、どこか寂しいものを感じずにはいられません。


猿渡由紀
L.A.在住映画ジャーナリスト
神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『週刊文春』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイ、東洋経済オンラインなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

構成/榎本明日香
 
  • 1
  • 2