人生の舵をウイルスに任せない


今すでに妊娠していて、もう少し待てばよかったなと思っている人もいるかもしれませんが、コロナ禍の妊娠・出産はデメリットばかりではありません。 

コロナ時代の「妊活と出産」産む?それとも待つ?【産婦人科医の回答】_img0
 

現在、新型コロナウイルスは人々に大きなショックを与えていますので、妊娠を延期する人は増えるでしょう。この時期に妊娠をすれば、生まれてくる赤ちゃんは全体として少なくなると思います。
同年代の子どもが少なければ、保育園に入りやすいというメリットがあります。受験や就活なども競争倍率が下がり、生まれてきた子の人生面で有利に働くことがあるかもしれ ません。逆にいえば、コロナ終息宣言が出された途端にベビーブームが到来して、そこで生まれた子たちは人生の様々な面で競争率が高くなってしまうかもしれません(もちろん、たくさんの同級生にもまれて競争しながら育った子どもたちは、たくましいアフターコロナ世代として活躍してくれるでしょう)。 
何も考えずに、ただ流行が終息するのを待っているだけでは、人生の舵をウイルスに任せているようなものです。十年待ったのにワクチンも治療薬も開発できず、ウイルスの脅威はそのまま、人々は状況に慣れてしまって恐怖心が薄れ、誰も予防措置を取らなくなって、さらに流行は拡大し、高齢者や妊婦だけが怯えて暮らしているという未来だってあり得ます。 

 

逆に、不便な思いをして不安を我慢しながらコロナ禍の中で出産をしたのに、すぐにワクチンができて、もう少し待てばよかったと後悔することも起きるかもしれません。
流行がおさまった場合と、おさまらない場合のどちらに賭けるか、という問題になってしまいます。どちらかに賭けて外れたら、取り返しがつきません。でも、両方のケースを考えておけば、大きく外れずに済むのではないでしょうか。
後悔しないプランを立てるために、コロナ禍での妊娠・出産について、怖がらず正しい情報を集めてみてください。 
 

コロナ時代の「妊活と出産」産む?それとも待つ?【産婦人科医の回答】_img1
 

『産婦人科医が伝えたいコロナ時代の妊娠と出産』
著者:宋美玄(星海社新書/900円税別)

産婦人科医の宋美玄先生が、日々刻々と状況が変わるコロナ時代の妊娠と出産について、知っておきたい正しい知識を教えてくれる一冊。子づくりのタイミングからマタニティライフの過ごし方、また感染した場合の出産についても網羅しています。


構成/小泉なつみ

 

第2回「妊婦はPCR検査を受けるべきか〜コロナ禍の妊婦の心得とは」は10月11日公開予定です。