アメリカ国民一人ひとりが他人事じゃない、大統領選の結果が与える影響

ロースクールから見えた、ギンズバーグ判事の功績とアメリカ大統領選の影響_img0
 

トランプ氏か、バイデン氏か。今回の大統領選の結果は今後、このような選挙に関する訴訟や最高裁が下す判決へ、大きな影響を及ぼす可能性があるのです。私の周りでも、多くの人が落ち着かない気持ちで開票のニュースを見守っています。各州で多くの人が郵便投票を行い、その集計作業に時間がかかることもあり、この記事を書いているアメリカ東海岸の11月4日午前6時の現時点でまだ結果は出ていません。

 

【トランプ氏が勝利した場合】
現在9名の最高裁判事に再び空席が出た際に、トランプ氏がバレット判事に続く4人目の判事を指名する可能性もあります。さらに保守化が進むことは避けられません。すでに、最高裁は大統領選挙の郵便投票に関してマイノリティの有権者に不利な判決を出しているという批判もある中、今後の人工妊娠中絶、医療保険に関する裁判などで、社会的弱者にとって厳しい判決が続く可能性は高いと考えられています。

【バイデン氏が勝利した場合】
当分の間、最高裁が下す判決が保守的なものになる可能性は変わらず、マイノリティに有利な判決とはならないかもしれません。しかし、最高裁判事の定員は、憲法で規定されたものではないのです。選挙中の明言は避けたものの、バイデン氏の勝利によって今後は判事の定員を増やすという動きがあるかもしれません。もし、これから4年の間に民主党が新たな判事を指名することがあれば、リベラル寄りの弱者を守る判決が期待できる可能性も出てきます。

バイデン政権のもと、最高裁の体制が変更されるとなると、アメリカ社会でこれまでギンズバーグ判事らが築いてきたマイノリティを守る様々な動きは、引き続き尊重されていくかもしれません。

ロースクールから見えた、ギンズバーグ判事の功績とアメリカ大統領選の影響_img1
私が通うロースクールのあるニュージャージー州の公園。コロナの影響で人影はなく、静けさが漂う。

どちらの結果になっても、私の周りの多くの人は、誰もが平等でいられる社会を守ろうという強い思いを持って選挙の結果が出るのを待っています。

*本記事は、2020年11月4日(木)6:00(アメリカ東海岸時間)時点の開票結果を元に執筆したものです。


構成/金澤英恵