早いもので、もう11月になりました。私の住むニューヨークでは、この1週間で随分と冷え込みが厳しくなりました。今年はコロナウイルスの影響もあり、家で暖かくして過ごす時間が多くなるかもしれません。ですが、寒さを感じるこの季節には、「冷え」を感じやすいもの。今回は冷え性についてまとめていきたいと思います。

 


【質問1】冷え性って何ですか?病気ですか?


冷え性は、手や足の先などに「冷え」の感覚を持ちやすい傾向を指します。冷えへの過敏な反応から、不快感を抱いたり、寒い環境を極端に避ける行動につながったりします。寒い場所で冷えを感じるのは万人共通ですが、必ずしも人が寒いと感じない場所でも「冷える」と感じ続けていれば「冷え性」にあたることになります。

これは、一つの「症状」とは言えますが、必ずしも「病気」とは言えません。最も、東洋医学的には、これも一つの病として対処されており、日本でも一つの疾患概念のように浸透しているかもしれません。

冷え性には、背後に原因となる病気が隠されていることがあり、そのような病気がないかどうかを見極めることが大切です。

一方、「冷え」というのは主観的な感覚であり、何も病気がなくてもそのような感覚を持つことが十分にありえます。一般的によく言われる「冷え性」はそのようなケースが多いかもしれません。
 

【質問2】冷え性の人は体温が低いのですか?


必ずしも全身の体温が低いというわけではありません。ただ「冷え」を体の一部で極端に感じやすくなっているというだけです。

ここで少し体の温度調整の仕組みと冷えの関係についてご説明しておきたいと思います。

体の温度というのは、複数のシステムによってコントロールされています。この制御システムの最上位の司令塔はあなたの脳の視床下部というところにあります(参考1)。そこで体温の変化を敏感に察知し、体の各部位へ指示を出しています。

指示を出す相手は、例えば、甲状腺と呼ばれる首の真ん中あたりにある臓器です。甲状腺で作られる甲状腺ホルモンは体の燃料を燃やし、熱を作る指令を出す大切な役割を果たしています。この甲状腺がうまく機能しなくなると、冷えを感じやすくなります。

あるいは、血液は熱を全身に運ぶ役割も果たしています。血液の流れが悪くなった場所では、実際に温度が下がってしまい冷えの原因となります。血液の重要な成分である赤血球の減る貧血でも、冷えを感じやすくなることが知られています。

また、この「冷える」という信号を送っている神経に何らかの障害が生じると、冷えを感じやすくなります。

このように、冷えを起こす原因は多岐に渡るのです。
 

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