今日のランチはきちんと味わって食べることができましたか? スマホ片手に、素材の味や香りも特に意識せず、ただ咀嚼し飲み込むだけで終わらせてはいなかったでしょうか?
現代人の食生活では「食べたいもの」と「食べるべきもの」との間にしばしばギャップが生まれます。私たちは感情や欲望といった頭の中の声に振り回され、食事においても自分の選択や行動をコントロールできなくなることがあります。その状態は、眠ろうとしてベッドで横になったとたん、眠りたいのに頭の中で思考が暴走をはじめてしまい、それをコントロールすることができずに眠れなくなることと同じ現象です。
かのビル・ゲイツが「マインドフルネスを試したい人にはパーフェクトな入門書だ」と2度にわたって絶賛した、『頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる』。著者のアンディ・プディコムのクリニックには、なぜか食べ過ぎてしまう、ついつい考え過ぎてしまい眠れないなどの悩みを抱えている人が数多く訪れています。
今回はこの話題の本から、マインドフルネスを「食事」と「睡眠」に取り入れる方法をそれぞれご紹介します。
食べながら「今、ここ」を意識するためのステップ
たとえばその日のランチがサンドイッチと分かれば、私たちはスマホを片手に、あとはもう一方の手を口まで往復させていれば食事を終えることができます。ほとんどの人は、最初の何口かで自分が食べているものに間違いないことを確認した後は、意識半分で食事を続けてしまっています。しかし、それで食べているものを味わっていると言えるでしょうか。
何を食べているか意識せず、ただ漫然と済ませてしまっていては、心や体の声に耳を傾けることができなくなってしまいます。それでは、食べ過ぎてしまうことがあっても当然でしょう。
マインドフルネスはカロリー消費を促すことはできませんが、食べるという行為に取り入れることで、ダイエットにもすばらしい効果を得られることが分かっています。
1.まず2、3回深呼吸してください。心と体を落ち着けます。
2.料理を見て、その材料の原産地や栽培方法、食肉ならば育てた人のことにまで想像してみましょう。
3.そして、目の前に食べ物があることに感謝しましょう。
感謝する気持ちは、安定したマインドフルネスの実践の中心となります。
4.食べ物の感触、温度、色などに注目してください。
5.口に運びながら、目、鼻、口に注意を移してください。そして体に感じる様々な感覚を観察してください。
6.体の感覚に加えて、心の反応にも注目しましょう。
食べている最中、心が退屈しはじめ別のことを考えてしまうこともあるかもしれません。スマホに流れる情報に注意が向いてしまうこともあるでしょう。ただこれはごく普通のことですので安心してください。心がどこかに行っていたことに気づいたら、味や匂い、感触などに注意を戻すようにすればいいだけです。
7.食事が終わりに近づいたら、食べ終えてしまうことに対する自分の感情を観察してください。そして最後の一口には特に時間をかけてもいいでしょう。
そして、テーブルを離れるか次のお皿に移る前にもう一度、2、3回深呼吸をしてください。
テーブルにつく前にお腹がすいていた時の感じと、お腹が満たされた今の感じを比べてみてください。食べ物でいっぱいだった時のお皿がどう見えたかを思い出し、からっぽになったお皿が今どう見えるか注目してみてください。
これらのことに気づき、あらゆるものが絶えず変わっていること、すべてのものにははじまりと終わりがあることに気づくと、しだいに気持ちが楽にリラックスしていることを感じられるはずです。
このエクササイズを通して、食べながら「今、ここ」を感じることができるようになると、食べ過ぎやカロリー過多の食事などの抑制にもつなげることができます。ぜひ試してみてください。明日のランチはきっといつもと違うものになるはずです。
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