本当に何も支援がない場合は、行政のサポートを得ていますか? 実はこれは思った以上に大きなポイントで、東京など都市部では、ハローワークでもシングルマザーへ優先的に仕事を紹介してくれるなど、想像以上のサポートを受けられます。自治体によって違いはあると思いますが、職探しを急がれるようでしたら、ぜひ一度相談をしてみてください。
反対に、何らかの支援があり当面は生活に問題がないようでしたら、もう少し長期的な目で職探しをされることをお勧めします。というのも、もしかしたらきちさんは、自分には全く合わないところで職探しをしている可能性もあるからです。
たとえば、京都大学を卒業した人が小さな町工場に就職を希望したものの、工場の社長は「うちではアナタを持てあます」と言って断った、という話があります。また、山の手の奥様が「働いてみたい」と近所のコンビニでアルバイトを始めたところ、全く馴染めずすぐ辞めたという話も聞いたことがあります。これは人材として良かった悪かったの問題ではなく、単純に合う合わないの問題です。
自分がどんなに働きたいと思っても、それが自分にフィットした仕事でなければ、企業側も受け入れてはくれないし、受け入れてもらえてもなかなか続かないでしょう。もし職探しを焦る必要がないのでしたら、自分がやりたい仕事、自分に合う仕事をしっかり見極め、そこで探していくことが必要です。
ちなみに、自分のやりたいことの見極め方ですが、「もし自分が起業するなら……」という視点で具体的に考えてみると良いでしょう。たとえばある女性は美容が好きだったので、エステサロンを経営しつつ化粧品や美容器具も売るというような商売を始めたい、と考えました。するとエステ業界というのは常に人材を募集していることが分かり、あっさりエステサロンでの仕事が見つかり働き始めました。でもエステで働くというのは、美容が好きだというだけでは思いつかなかったこと。起業という発想を持ったから浮かび上がってきたわけです。
きちさんは、24年のキャリアがあるんだから貿易事務関係の仕事を探すべきだと決めつけていないでしょうか? でもそれは、今の自分に合う仕事とは違うかもしれません。これまでと全く違う分野なんてこれまでのキャリアがもったいない、と思うかもしれませんが、そのキャリアは自分が思っているのとは違う形で生きてくることもあります。ですから自分の可能性を勝手に狭めず、やりたいこと・合うことをぜひ探してみてください。
- 根本裕幸1972年生まれ。1997年より神戸メンタルサービス代表・平準司氏に師事。2000年にプロカウンセラーとしてデビュー。以来、述べ15000本以上のカウンセリングをこなす。2001年、カウンセリングサービス設立に寄与。企画、運営に従事し、2003年からは年間100本以上の講座やセミナーもこなす。2015年より独立。フリーのカウンセラー、講師、作家として活動している。『いつも自分のせいにする 罪悪感がすーっと消えてなくなる本』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『人のために頑張りすぎて疲れた時に読む本』(大和書房)、『子どもの将来は「親」の自己肯定感で決まる』(実務教育出版)など著書多数。ブログはコチラ→https://nemotohiroyuki.jp/ この人の回答一覧を見る
- 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『FRaU』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る
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