【質問2】長引く咳の原因は何ですか?
8週間、すなわち2カ月以上続く咳の最も多い原因の一つが、今回の記事でご紹介する「慢性上気道咳嗽症候群」だと言われています(参考2)。この病気については後ほど説明します。
これ以外に頻度の高いものとして、喘息ないし咳喘息、気管支炎、逆流性食道炎、薬剤(血圧の薬)などの原因が考えられます(参考3)。
喘息であれば、息切れや喘鳴はないか、逆流性食道炎であれば胸焼けなどの症状はないか、あるいは咳を起こすような血圧の薬を内服していないかなどを確認して、原因の絞り込みを行なっていきます。
また風邪の後に咳だけが1カ月や2カ月続くこともありえます。これは風邪の後の咳ということで「感冒後咳嗽」などと呼ばれることもありますが、鼻水や熱、喉の痛みといった症状が4~5日続き治癒した後に、咳だけが長引いてしまうというものです。明らかな風邪の症状が初期にあって、その後に咳だけが残っているという場合には、これに該当するかもしれません。
【質問3】慢性上気道咳嗽症候群とは何ですか?
慢性上気道咳嗽症候群は、過去に後鼻漏(こうびろう)と呼ばれた病気を含む疾患概念です。この「後鼻漏」という言葉なら聞き慣れた方もいらっしゃるかもしれません。
後鼻漏というのは、「後」ろに「鼻」が「漏」れるという字の如く、鼻水が鼻の穴から出てくるのではなく、その一部が鼻の後側にたれこみ、それが喉に到達し、喉を刺激して咳の症状を出す、あるいは喉に鼻水がたまったのを出そうとして咳をする状況を指しています。
ただし、実際にはこの「鼻水が喉に垂れ込んでいる」という感覚のない人もいること、これを客観的に確認する確実な検査が存在しないこと、必ずしも鼻水が垂れ込む刺激だけが咳のメカニズムではないことなどから、現在では「慢性上気道咳嗽症候群」という病気として包括されることが多くなりました(参考2)。
この「気道」という言葉は、「空気の通り道」を意味する言葉です。人は呼吸をすると、鼻や口から空気を吸い込んで、それが喉を通り、その奥の気管、気管支に到達し、最終的に肺に届いて血液との間でガス交換が行われます。
このうち、鼻から喉までのことを「上気道」と呼び、気管から肺までを「下気道」と呼んでいます。
「上気道咳嗽」というのはすなわち、鼻や喉が原因で起こる咳のことを意味していて、症状が1カ月や2カ月を超えて持続した場合に「慢性上気道咳嗽症候群」という診断名がつくことになります。
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