今回は読者の方からのリクエストにお応えして、「しびれ」についてまとめていきたいと思います。

 


【質問1】しびれとはなんですか?私のしびれと、あなたのしびれは違う?


まず、一口に「しびれ」と言っても、人によってそれが意味する症状が異なることがあるので注意が必要です。人と「しびれ」について話す時は、まずそのしびれが本当に同じ意味なのかを確認しなければなりません。

おそらく多くの人にとって「しびれ」は、「ビリビリする、ジンジンする」といった症状を指すのではないかと思います。

例えば、長時間の正座をした後に「足がしびれた」というのは、多くの方が経験したことがあるでしょう。その時に感じるあの感覚です。

この場合、同じ姿勢でいることで、足の神経が骨や床の圧力で板挟みになり圧迫されたり、足の血液の循環が悪くなることでしびれが生じます。

このような「ビリビリ、ジンジン」といった感覚は、医学用語では「異常感覚」と呼ばれています。

一方で、触った感覚が鈍くなる、冷たさを感じなくなる、などのように感覚が低下した状態を「しびれ」と表現する方もいます。このような症状は、医学用語では「感覚鈍麻」と呼ばれ、区別されています。

さらには、「手の力が入りにくい」「足が動かしにくくなった」など、筋力が落ちたという症状を「しびれ」と表現して病院受診される方もいます。この症状は、脱力、運動麻痺、筋力低下などと医学の世界では呼ばれています。

あなたが感じた「しびれ」はこのうちどれに該当するでしょうか。それによっても、考えるべき病気が異なってくるのです。
 

【質問2】しびれはなぜ起こるのですか?


しびれの原因は非常に多岐に渡ります。とても身近なものでは、先ほどご紹介したような長時間の正座だけでも起こりますし、深刻な病気としては、脳梗塞や脳出血などでも起こりえます。特に、しびれで病院を受診する方を内科医として診察していると、脳梗塞や脳出血を心配して受診される方が多いように感じます。

症状が「異常感覚」や「感覚鈍麻」にあたる方は、感覚を司る神経になんらかの障害が出ている可能性があります。

感覚を伝える神経は手や足の指先で感じとった感覚を、脳の決まった司令塔の部位に伝えます。その途中で、神経は背骨(脊椎)の中を通過します。

仮に脳を首都の東京に例えると、脊椎の中が東京へとつながる高速道路、末梢神経が高速道路から枝分かれして各地域につながる一般道といった具合です。このようにして、指先から脳までが実は一本の道路(神経)でつながっています。そのどこか1箇所でも問題が生じた場合、それが司令塔である脳に伝えられるようにできており、それを「しびれ」として感じとることになります。

このように、しびれは、手や足のけが、圧迫などでも生じますし、背骨の中の病気、例えば椎間板ヘルニアなどでも起こります。そして、多くの方がご心配される脳の病気、脳梗塞や脳出血でも起こりえます。
 

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