きょうだいが自分の子どもを虐待していたら、どうすればいい……? 自身も虐待経験を持ち、児童虐待防止機構理事長、アンガーマネジメントファシリテーターなどとして活動する島田妙子さんに、虐待を見つけたときに取るべき対応について教えていただきました。

 


ミマルさんからの質問

Q. 弟が子どもを虐待しています。伯母として甥っ子を救うにはどうすれば良い?


私の弟が息子を虐待しています。虐待の内容は暴言、頭を叩く等です。甥っ子が苦しくて中学校の担任に言って、一度児童相談所に保護されました。弟は一応反省して甥っ子は帰ってきましたが、その後も「育ててやっている」と暴言はやめていません。弟夫婦は2人ともうつ病で通院しています。弟は今無職です。同居している母にも暴言を吐きます。児童相談所が家庭訪問に来ますが、いいことばかり言って、帰った後に鬱憤を暴言で甥っ子にぶつけます。私は仕事で県外にいます。弟の暴言はボイスレコーダーに録音しています。伯母として甥っ子を救うにはどうすればいいでしょうか。(50歳)


島田妙子さんの回答

A. 甥っ子は早急に保護を。そのうえで弟さんも救ってあげましょう。


子ども自身が苦痛だったり、生活が脅かされていると感じれば、それはもう虐待なのです。親は「これはしつけだ」などと言いますが、残念ながら虐待です。周囲の人も、ハッキリ伝えるようにしてください。それでも弟さんに反省も改善も見られないようでしたら、もう一度児童相談所に保護してもらったほうがいいでしょう。私は中学2年と比較的大きくなってからでしたが、それでも、保護されたことは後の人生には大きな好影響がありました。優しい大人もいるんだ、と知ることができましたから。何より鬼になる親の姿を見せ続けることは絶対に良くありません。甥っ子さんが何歳かは分かりませんが、早いほど良いですから、迷いなく児童相談所に連絡してください。

虐待する人というのは、虐待しやすい対象が目の前にいるとどうしても当たってしまうもの。本当は甥っ子だけでなく、同居しているお母さんとも離してほしいのですが……。

よく、児童相談所が協力的でなかったため悲劇につながった、というようなことがニュースで流れるため、連絡してもムダなのでは……と思われる方も多いかもしれません。たしかに対応の質は個々の児童相談所によるところはあります。が、それでも本気の思いというのは伝わるものです。ミマルさんが「助けてあげてほしい!」と必死でお願いすれば、きっと彼らも動いてくれると思います。

そのうえで、弟さんに「あなたの人生も立て直しましょう」と問うことが大事です。このまま荒れた状態で生きるのか、それとも少しでも健やかな状態で生きるか……。ですから是非、弟さんにはアンガーマネジメントトレーニングを受けてほしいと思います。その内容はこの場ではお伝えしきれないのですが、大事なのは弟さんに自信を持たせることです。弟さんは仕事もなくうつ病を患っているとのこと。自信がないから、感情コントロールが悪くなってしまうのです。

もちろん最初は「そんなもの受けるもんか」と抵抗されるでしょう。でもそこで叱ったり責めたりするのではなく、「一度きりの人生、せっかくならいい方向に持っていこうよ」と、弟さんに寄り添った声がけをしてあげてください。それで嫌々受けた人でも、その後は人生が変わっているのです。

大事なのは、「あなたの人生を思っている」と伝えることです。甥っ子さんの味方というスタンスでいくと反発されるので、あくまで“弟中心”のスタンスでいってください。弟さんはまだ40代なのに、このまま人生をムダにしてしまうなんてもったいない。体力がある年齢のうちに幸せになって、生き直してほしいと思います。

だから是非「皆、アンガーマネジメントを受けて幸せになっている」と熱く伝えてください。熱く、です!
 

PROFILE
  • 島田 妙子1972年生まれ。兵庫県神戸市出身。児童虐待防止機構オレンジCAPO理事長、兵庫県児童虐待等対応専門アドバイザー、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントファシリテーター。7歳から父親と継母による壮絶な虐待を受ける。中学2年で児童養護施設に入所し、中学卒業後、工場勤務を経て映像制作会社に転職する。22歳で結婚。3人の子供を育てながら、児童虐待防止の活動をスタート。虐待される側だけでなく、虐待する側の心を救うことにも努めている。著書に『虐待の淵を生き抜いて』(毎日新聞出版)、『本当は怒りたくないお母さんのためのアンガーマネジメント』(到知出版社)などがある。 この人の回答一覧を見る
  • 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『FRaU』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る
 取材・文/山本奈緒子

 

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