似合わない目の前の流行より、好きな時代へ勝手にタイムスリップ!


当時はまだインターネットが広く普及する前だったので、ヴィンテージファッションの情報は古い映画や雑誌から集めました。

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私の切り抜きコレクションの一部

特に愛してやまない、私のファッションミューズはブリジット・バルドー。

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出典:Brigitte Bardot : My life in Fashion

この、意思を持った強い目。
彼女の媚びずにさっそうと歩く姿が、今までキツく見えていた目にコンプレックスを持っていた私に、勇気をくれました。
強い目は、『隠すものではなく誇らしく思うべきだ』と。


彼女のファッションは、時にとてもカラフルです。
その中でも服に埋もれず、常に自分が主役でいられるのは、魅力的に見える色とサイズを熟知しているから。

『流行っていてもいなくても、良いじゃないか。自分を輝かせてくれるものを着よう』

とっくに過ぎ去った時代に作られた映画や雑誌が、私に力をくれたのでした。
さぁ!うつむいていないで、お買い物へGO!!

 


たくさんのヴィンテージファッションを見て、分かってきたこと

 

お買い物って言っても、古着屋ってどこ?
インターネットがない時代、とにかく歩いて探すしかないのです。

雑誌やオシャレなお友達からの情報を参考にし、私の好きな大人っぽいヴィンテージファッションは、代官山に集まっていると言うことが分かりました。

たくさんのお店で店員さんから買い付けにまつわるお話を聞き、実際に手にとってみて分かったことがあります。

・昔のお洋服は、機械での大量生産が主流ではなく、1つ1つ丁寧に作られている。
・オーダーメイド品も多くあるので、サイズは前の持ち主に合わせてあり、再度お直しが必要なこと。
・ボタンや金具など細部まで凝っている。また、生地は惜しげなく使い、高級感があるお洋服が多いこと。

こちらは、私のお気に入りのヴィンテージのお洋服です。
レオパードのブラウス。
胸元はリボンで結ぶようになっています。

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もちろん現在でも、レオパードはいつも大人気。
でも新品よりヴィンテージに心惹かれるのには様々な理由があります。

まずは、色合い。
経年により少しかすれた色は、レオパードの強さを柔らかく見せてくれます。

そして、生地の使い方。
脇の下にまでたっぷりと生地を使用し、まるでドルマンスリーブのよう。
ブラウスやシャツでこのシルエットは珍しいのではないでしょうか。

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また、腕回りにも多めに生地を使っているので、手を動かしたり、ただ腕をだらんとおろすだけでも、ドラマチックな動きが生まれます。

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広げると、実は身ごろがこんなにワイドなんです!

このブラウスは70年代のもので、機械的に大量生産されたものではないようです。
そのため、広くパターン化されたシルエットとは異なり、ほんの些細なこだわりが全体の印象を左右します。
そしてこのような『作り手がコッソリこだわったところ』を見つけると、どうしようもなく惹かれてしまうのです。

今ではファッションに全く無頓着の父だって、新婚旅行ではバーバリーのトレンチコートを着ています。

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何年も大事にしていて、私の小学校の入学式でも着ていました。
父も作り手のこだわりの詰まったこのコートに、心惹かれていたのでしょうか。

古着屋さんでも、細部まで丁寧に作られたお洋服にたくさん出会いました。
また、その中には何度もお直しされた跡も見て取れます。

使い捨てにせず、大事に扱っていた持ち主の気持ちが、時を越えてじんわりと伝わってくるのでした。


泣く泣く手放したお洋服たち。次の持ち主に願いを込めて


2年前、たくさんのヴィンテージのお洋服を手放しました。
本当に迷って迷って迷って……でも、40代となり、小さな息子がいる身ではもう着ることもないだろうし、古着屋さんに売ることにしました。

捨てる、という選択肢はなかったのです。
私と同じように、前の持ち主の気持ちを汲んで、大事にしてくれる誰かの手に届くと信じて。

私の愛しい子たちと最後に記念撮影。

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無名ブランドからハイブランド(サンローラン、キャシャレル、ピエールカルダン、KENZOなど)まで。

みんな私の可愛い子。

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この写真を見ると、今でも胸がギュッとなるけれど、お嫁に行ったと思えば。
どうか幸せになってね。

私はファストファッションを否定する気はないし(むしろ好き)、たくさんのものを着てみて失敗もして、チャレンジしていくことは、感性を磨く上では必要なことだと思います。
でも、愛着もなくどんどん消費されていくのを目にするのは、少し悲しくなるのも正直なところです。


私がヴィンテージを好きなのは、今は存在しないデザインの美しさだけでなく、どこでどんな風に出会い、別れがあり、というストーリーを思い描く過程にも、魅了されているのかもしれません。

今私が着ているお洋服たちも、30年後にそんな風に手にとってもらえたら……なんて、ロマンチックなのだろう。
取れかけたボタンを付け直しながら、そんな風に思いを馳せるのでした。
 

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ちささん

はじめまして!ちさと申します。 好きなこと:インテリアやDIY、ヴィンテージ雑貨。 
ミモレ編集室に入った理由:「ミモレが好き」は勿論!ですが、2年ほど前からブログを始め、上手く文章を書けず煮詰まっていました。
そんな時にここで文章の書き方を学べると聞き、興味津々で入会しました♪


第4期生のご入会は、12月25日から!ただいま事前登録受付中です。

 
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