「入れ歯」なら、歯を失っても噛む力を取り戻せる

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自分の歯を長持ちさせることが大事ですが、やむなく抜くこともあります。歯が抜けたままだと、うまく噛めないのでおいしく食べられなくなります。また、残っている歯が傾いたり、飛び出したりすると、さらに噛み合わせが悪くなってしまいます。見た目にも影響するので、早めに対処しましょう。

 

インプラントやブリッジという選択もありますが、それらが難しい場合は、人工の歯(義歯・入れ歯)を入れる必要があります。ブリッジとは、失った歯の本数が1〜2本のときに行なう治療法です。失った歯の両隣の歯を削り、連結した義歯をかぶせる方法です。隣の歯をたくさん削ることになります。デメリットはありますが、取り外しの必要がなく、比較的短期間で治療が終わり、噛む感触が自分の歯に近いというメリットもあります。

インプラントもブリッジもできない場合は、部分入れ歯や総入れ歯になります。自分に合った入れ歯を入れると、噛めるようになりますし、滑舌がよくなります。口元にもハリが出て表情が若々しくなるなどいいことばかりです。

基本的には、まとまった3本以上の歯をなくしたときには部分入れ歯に、すべての歯をなくした場合は総入れ歯になります。入れ歯のバリエーションは多く、保険適応となるものもあります。選択肢が多いので歯科医と相談しながら、自分に合ったものを選びましょう。


歯の残存本数が少ない日本人


平成29年度歯科疾患実態調査(厚生労働省)によると、歯の残存本数(歯の本数は親知らずも含み28本)は、40代までは約28本とほとんどの歯が残っていますが、加齢とともに減り、65〜69歳は約21本、70〜74歳は約20本、75〜79歳は約18本、80〜84歳は約15本にまで減っています。厚生労働省と日本歯科医師会は80歳まで20本の歯を保とうという「8020運動」を推進していますが、達成はまだまだです。

ちなみに、厚生労働省は、定期的な検診を受けていない場合、80歳で残っている歯はわずか6・8本というデータも発表しています。

寿命が延びたぶん歯も長持ちさせる必要があるにもかかわらず、日本の歯科治療は寿命の延びについていけていません。自分の歯は自分で守る意識を持ちましょう。

著者プロフィール
堀 滋さん
:サウラデンタルクリニック院長(旧堀歯科診療所院長)。1959年生まれ。日本大学松戸歯学部卒業。昭和大学歯学部付属歯科病院口腔外科勤務の後、日本橋中央歯科診療所などを経て、1990年に東中野にて堀歯科診療所を開設。歯学部卒業後も診療の傍ら、スウェーデン・イエテボリ大学で実践されている歯周病臨床実践コース、同アドバンスコースなど、海外の最新治療を学び、治療に取り入れている。2016年、全身の健康につながる心と体に優しい歯科医療を追求するために、自由診療専門のクリニックに移行。2020年秋に東中野から北青山外苑前に移転。

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構成/金澤英恵

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