それではいよいよ、日本人の手による元祖オフィスビルの登場です。
皇居のお堀のすぐ近くにある「パレスサイドビル」。
地下鉄の竹橋駅に直結し、すぐ横には首都高が通るアクセス抜群のオフィスビル。
1966年開館、開業当時のキャッチコピーは「東洋一のオフィスビル」でした。
毎日新聞東京本社ほか企業やレストラン、カフェなどが入居しています。まさに今のオフィスビルの原型と言える存在です。
地下6階・地上9階。なんと以前は、地下で新聞を刷っていたとか!
それではここで、パレスサイドビルのときめきポイントをご紹介します。
① 時空を移動する?丸いエレベーターホール
パレスサイドビルは東西全長約200mの横長のビル。
縦移動するためのエレベーターは、ビルの両端にぎゅっと集められています。外から見た白い円筒状の部分です。
丸いエレベーターホール内は、無機質でとても未来的。
外観のディティールは、逆にレトロでやわらかい印象。
この対比、たまらなくときめきます。
エレベーターホールが登場する毎日新聞のCMでは、ステンレスが編み込まれたようなデザインの階段も素敵です。
②「アンブレラ」と呼ばれるエントランス
エントランスは会社の顔。正面玄関には横幅たっぷりの階段があり、ドラマのロケで使われることもあるそうです。忙しく働くオフィスとは対照的で、なんだかちょっと優雅な空間。
一方、西側玄関は、まるで傘を広げたようなデザインのひさしがあり、モダンな雰囲気。その形状から「アンブレラ」と呼ばれているのだとか。
③ 雨が待ち遠しくなる、雨どいの美
そして何と言っても、パレスサイドビル一番のときめきポイントは、ビル全体を覆う雨どい。
均衡のとれたレールが何本も走り、上の階から落ちてくるしずくを、おわんのような形のお皿が受け止めます。
ビルの周りに均一に配置されたこの雨どいは、遠くから見ても、近くから見ても、圧巻の迫力。雨が降ったときの美しさも見逃せません。
すこし斜め横から見たときの美しさと言ったら…!ときめきます!
整然とならんだ美しいレールの向こうに、お仕事する人たちの姿がちらっと見えるのも、オフィスビルのならではの不思議な感覚です。
いかがでしたでしょうか?
オフィスビルには、建築としての美しさや個性だけではなく、機能としての美があります。
これこそ、オフィスビルのときめきポイントであり、私を魅了してやまないのです。
皆さんもぜひ、まずは身近なビルでときめいてみませんか?
■本日の司書箱
『シブいビル:高度成長期生まれ・東京のビルガイド』鈴木伸子 リトル・モア
『いいビルの写真集 WEST』BMC パイインターナショナル
関東、関西で1冊ずつ本を選んでみました!写真もたくさん載っています。
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悠さん
モットーは、どんなときでも色とりどりな毎日を。
建物めぐりが大好きな、元・図書館司書。今は現場を離れて勉強中。
きっと一生涯、本まわりの人。topis:本・介護・建築