【つかれない家族のヒント③】
お互いのことを“パートナー”だと思うこと
「いい妻」「いい夫」という言葉がありますが、その意味が「家事をよくこなす」「よく稼ぐ」だけだとしたら、それは決してほめ言葉ではないと思うことがあります。
もちろん家事育児の能力や、お金を稼ぐこと、それらは家庭においてとても大切なことですが、求め合うのがそれだけでは、ちょっとむなしい。そして、お金だけでしかつながっていない「主人」と「使用人」のような関係だと、カップルとしての心地いい関係は持続しにくいとも思うのです。きっとそこには我慢と違和感が存在するはず。なぜなら、主人と使用人は本来、ベッドは共にしないものだからです。
そう考えていくと、「子どもと夫婦の寝室を別にする」を実行したいのに夫婦のどちらかが強く反対する、というときは、対等な関係でもない、一緒にいてつかれる相手と2人で寝たりスキンシップをとったりするよりは、多少睡眠不足になってもかわいい子どもと寝たほうがマシ! と思われている可能性もあります。実は、わが家も、かつてはそういうところがちょっとありました……。
2人の夜の時間がギクシャクするとき。相手のことを「なんて冷たいんだ!」と責めるよりは、まずは「家事育児分担が不平等で負担が極端に偏っていないか、実は普段の生活で自分が相手に冷たくしてないか」を思い返してみてほしいのです。
世界の家族が、変化している
新型コロナウイルスの影響によって、世界中の家族の暮らしが劇的に変化しました。在宅時間が大幅に増えたことで、もともとうまくいっている家族はさらに団結が強まり、もともとうまくいってなかった家庭はより問題が悪化する、世界的にそんな二極化が起きたように感じています。フランスでは、家事分担の不平等がより顕在化し、離別するカップルが増えており、スペインでは、DVが以前より増えていると聞きました。今までなんとか表面上は問題をごまかしていた家族も、もはやそんなわけにいかなくなっています。家族が試されている時代、とも言えます。
著者プロフィール
ハラユキさん:イラストレーター、コミックエッセイスト。雑誌、書籍、広告、TV、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。産後クライシス体験を描いた『王子と赤ちゃん』(講談社)、陽気な妊娠出産ルポ『うわばみ妊婦』(マイナビ)など著書多数。連載「ほしいのは『つかれない家族』」は現在も東洋経済オンラインで連載中。
【ブログ】https://suikyo.amebaownd.com
【twitter】@yukky_kk
【instagram】@yukky_kkk
『ほしいのは「つかれない家族」 ワンオペ家事&育児に絶望した私が見つけた家族のシアワセ』
著者:ハラユキ 講談社 1650円(税込)
どうして自分だけこんなにつかれているのか。なぜ夫はわかってくれないのかーー。ワンオペ育児に絶望した著者が自分自身と家族を取り戻すべく、様々な夫婦に円満の秘訣を徹底取材。「つかれない家族」になるための知恵が詰まった本書は、実感的かつ実践的な「家族の教科書」ともいえる一冊です。
構成/金澤英恵
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