コロナ禍を経て迎えた2021年。緊急事態宣言により先行き不透明感が増して、お金についても不安になっている方も多いでしょう。
ファイナンシャルプランナー歴30年超の大ベテラン、深野康彦さんは「昨年に続き、今年も“ボーナス”に関して注意したいことがあります」と指摘します。
マネーコラムニスト西山美紀とマネー初心者の編集・片岡が、ボーナスの注意点と解決法についてお話を伺いました。

 

西山:経団連が昨年12月22日に発表した、大手企業の「2020年冬のボーナス」平均額。前年に比べて約9%減というニュースが話題になりました。私のようなフリーランスなどを含めて、もともとボーナスがない人もいますが、普段ボーナスが出ている方は気になると思います。

 

深野康彦さん(以下敬称略):実はボーナスが出ている方にとって留意しておきたいことがあるんです。企業規模が大きいところに勤めている方ほど、年収に占めるボーナスの割合が高いという点です。

片岡:確かに!大手企業はボーナスがたくさん出ているからこそ、年収が高い印象です。

深野:そうなんです。国税庁が「民間給与実態統計調査」というのを出しています。2017年~2019年の3年間の平均を見ると、社員数5000人以上の大企業に勤めている人は、年収に占めるボーナスの割合が27.2%でした。

西山:3割近くですね。

深野:はい。最近の企業では、基本給を大きく上げ下げするよりも、業績がいい時はボーナスで還元し、逆に業績が悪いときはボーナスを減らすという方針をとっているところが多いのです。
そう考えると、今はお給料がしっかり出ている方でも、今後ボーナスの増減によって年収が大きく変わる可能性が高くなります。

西山:例えば、家計がボーナス頼みだったり、いつもクレジットカードでボーナス払いをしていたりする方は要注意ですね。

深野:そうなんです。ボーナスが今までと同じくらい出るのならよいですが、そうでない場合は年収が大きく下がって、足元をすくわれる可能性があります。
「ボーナスありき」の家計管理をしている方は、一度見直しておくことをおすすめします。

さらに、40~50代の方は、今後、リストラ対象年齢に入ってきます。2008年のリーマンショックの際は、上の世代の先輩方がその対象だったかと思いますが、あれから10年以上がたち、今40~50代の方はまさにその年齢にさしかかっているのです。

片岡:確かに。リストラについては、周りでも早期退職の説明会に呼ばれる対象になった、という話をよく聞きます。

西山:仮に自分は大丈夫でも、夫が対象になるというケースもありますものね。

深野:はい、そのため、今年から来年にかけて、世帯収入が激変する可能性があるということを頭に入れておく必要があります。

日本は世界的にみるとまだ新型コロナの感染が抑えられている状況ですが、変異種の問題もありますし、緊急事態宣言も発令されて、今後もまだ影響を受けるでしょう。

過去の歴史を見てみると、リーマンショックの際には、お給料が下がって、また戻るまでに、平均値で約9年かかりました。
そう考えると、今回お給料が全体的に下がったところからコロナ前の基準には、そう簡単に戻らないと心得ておく必要があるでしょう。

西山:現在は収入にまったく影響がない方もいるかもしれませんが、心づもりは大切ですね……。

深野:さらにGDP(国内総生産)、簡単にいうと日本全体の売り上げについてですが、リーマンショック前のピークから、一度下がって戻るまでに、約4年かかりました。
今年は「ワクチンができれば大丈夫では」という雰囲気もありますが、在宅勤務が進んだり、外出に関する出費が減ったりと、新しい生活様式は続いていくのではないでしょうか。

もちろん、新たなビジネスが生まれるなどのよい面もありますが、経済が停滞する側面もあります。そうなると、この先1〜2年程度で経済が回復することは難しく、経済全体が戻るまでに3〜4年はかかると思った方がいいと思います。

もっと早く経済が回復するに越したことはないですが、家計を考える上では、少し厳しめに予測しておいた方が、対処しやすいと思いますから。
 

 
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