昨今、少しずつ知られるようになってきていた「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」と言われる人たちの存在。それをHSP専門カウンセラーの武田友紀さんが「繊細さん」と呼んだことから、「私もそうかも!」と自覚する人が一気に増えました。「繊細さん」というと、生きづらさを感じている人が多い印象を受ける方もいるかもしれません。でも実は、自分の繊細さを正しく知って上手に生かせば、人よりも幸せを深く感じられるというメリットも。そこで武田さんに、“繊細さんが元気に生きる方法”を教えてもらいました。


――「人の目が気になる」、「自分に自信がない」といった特徴が当てはまることから、「自分も繊細さんでは?」と気になっている人が多くいるようです。まずは「繊細さん」の診断基準を教えていただけますでしょうか?


武田 自分が繊細さんかどうかを知りたい場合は、以下の4つがすべて備わっているかを見てみてください。HSPの提唱者であるエレイン・アーロン博士は、繊細さんには、次の4つの性質(DOES)がすべて備わっているといいます。繊細さんは、他の人よりも小さなことによく気づく、深く考えるといった気質であり、誤解されやすいのですが、人の目が気になる、自分に自信がない、不安を感じやすい=「繊細さん」ではありません。

 


① 深く処理する(深く考える)


他の人よりも深く物事を考えます。たとえば職場で誰かがクッキーなどのお土産を買ってきて、配ったとします。すると受け取ったときに「かわいいデザインの包装だな」とか「○○さんは今日お休みしているから1つ取っておいてあげよう」とか、いろいろなことを一気にワーッと考える、といったことです。時に「考えすぎ」と言われてしまうこともありますが、他の人が考えないことまで考えるので、仕事の改善点につながる、ブログなどでも深く考えて発信する、といった良さがあります。

 


② 過剰に刺激を受けやすい


音や光、暑さや寒さ、痛みなど、まわりから受ける刺激に敏感です。楽しいイベントの前日は興奮して眠れなかったりするなど、自分の内側からも刺激を受けます。人一倍刺激を受けとるため、疲れやすい傾向があり、一人の時間や静かな時間が必要です。一方、様々なものを感じるからこそ、直感が鋭く、自分に合うものが一瞬で分かるといった良さもあります。

 



③ 感情反応が強く、共感力が高い


共感を生む働きをするといわれているミラーニューロンという神経細胞があるのですが、繊細さんはこのミラーニューロンの活動が活発であるといわれています。そのため共感力が強く、他者の気持ちを察することが得意。事件や事故のニュースなどをみると落ち込んでしまったりもしますが、人の喜びを自分の喜びのように嬉しく感じるといった良さもあります。

 


④ 些細な刺激を察知する


これは「小さなことにもよく気づく」ととらえていただくとわかりやすいと思います。何に気づくのかは人によって様々ですが、ぱっと書類を見ただけで誤字脱字に気づいたり、相手の声のトーンの微妙な変化など、小さなことによく気づきます。そのため仕事ではミスが少ない良さがある一方、気づく量が多いため、仕事に時間がかかることもあります。また人付き合いでも、相手の小さな変化に気付いて細やかな気遣いができる一方、「この人は今、本音を言っていないな」と気づいてモヤモヤしたりもします。

 

このように、繊細な気質は、大変なこともある一方で、良い点もあるのです。外がお天気なだけで嬉しくなる、カフェの店員さんのちょっとした笑顔が嬉しいなど、毎日の小さな幸せに気づいて、めいっぱい味わえる気質でもあるんです。

 
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