繊細さんがラクになれる処方箋


――繊細さんは何事においても感じる力が強いのですね。そのため疲れてしまう人が多いと思うのですが、繊細さんがラクになれる処方箋のようなものはありますでしょうか?

武田 繊細さんは人より刺激を感じやすいので、疲れやすい傾向にあります。インプットが多いんですね。なのでもし、考え込んで頭がぐるぐるしたり、神経が高ぶってなかなか眠れなかったりするときは、こまめにアウトプットしてみるといいですよ。日記やブログを書いたり、あるいは歌ったり絵を描いたりなどして、内に溜まった刺激を外に出すことがオススメです。

 

このアウトプットのとき、正確に文章にしようとしたり、絵を上手に書こうとする必要はありません。ただ“出す”だけでいいんですね。たとえば「自分の今の気持ちはこんな感じ」と、ペンでぐるぐる丸を描くだけでもOKです。それだけでもかなりスッキリします。

 


――人の気持ちに気づいて気を遣いすぎてしまう、という場合はどうすれば良いのでしょう?

武田 先回りして相手を助けるのを、減らしてみるといいですよ。繊細さんは、小さなことにもよく気づきますし、共感力が強いため、職場でも家庭でも困っていそうな人にすぐ気づきます。相手に頼まれる前に、先回りして、自分からサッと手助けしていることが多いんです。それによって「細やかな気遣いのできる人」と評価されますが、自分自身が疲れてイライラしてしまってはもとも子もないですよね。とくに「こんなにしてあげているのに……」と思ったら、相手を助けすぎているサイン。少し手助けを控える必要があります。

そうは言っても、気づいたのに放っておくというのはなかなか難しいもの。そこで、そんなときの合言葉は「相手の力を信じる」です。繊細さんは相手の状況や気持ちをよく考えるので、なかには職場の電話が鳴ると「相手を待たせちゃいけない」「同僚たちもみんな忙しそうだから」と、すぐに電話をとる方もいます。それがいつしか「いつも私ばかり電話をとっていて、他の人がとってくれない」となるんですね。でも、反応速度はひとそれぞれなので、3コールでとるひともいれば、10コールで取る人もいます。繊細さんはいち早く動きがちですが、自分が忙しいときはとらずに様子をみていると、他の人もとってくれます。このように、「私が何とかしなきゃ」ではなく、「他の人も、その人のタイミングでやってくれる」「相手は相手で何とかするでしょう」と思うよう心がけてみてください。

――繊細さんは感じる力が強いとのことですが、そのセンサー自体を緩められる方法はないものでしょうか?

武田 背の高い人が背を低くできないように、繊細さんが「鈍感になる」ということはできません。でもそれは、一生悩み続けるという意味ではないんです。悩みへの対処法を知ることで、仕事も人間関係もラクになっていきます。

人間関係では、“わかり合うことを手放す”という視点を持てると、ラクになります。繊細さんは相手のことを深く理解する一方で、自分のことを深く理解してもらった経験が少ない傾向にあります。ですから、たとえばパートナーや友人など、珍しく自分をわかってくれる人に出会えたとき、全てを分かってもらいたい!という想いに駆られやすいのです。「わかり合えることがいいこと」思われがちですが、「私をわかって! 受け入れて!」というのは相手へのコントロールであり、反発を招きます。わかってもらえることもあれば、わかってもらえないこともある、両方あっていいんだ、と思えるといいですね。

 

オススメなのは、「相手に情報提供をする」という姿勢でコミュニケーションすることです。「私はこう思う」と自分の気持ち、つまり情報だけ伝えて、それを理解するかや、納得するかは、相手に任せる。そうやってわかり合うことを手放せると、程よい距離感が保て、人間関係もラクになりますよ。

 

『今日も明日も「いいこと」がみつかる「繊細さん」の幸せリスト』
武田友紀・著 1300円(税別) ダイヤモンド社

繊細さんだからこそ感じられる幸せのコツを、HSP専門カウンセラーの武田友紀さんが綴った1冊。細かいことによく気がつく、人の悲しみなどに共感してしまう、といったことから心が疲れてしまっている方は、是非読んで。自分の繊細さは、実は幸せを感じるための素敵な才能なんだと気づけます!


取材・文/山本奈緒子
イラスト/Vectorium / Shutterstock
構成/山崎 恵

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