好感度満点!アメリカ初の“セカンドジェントルマン”

1月20日の就任式にて、副大統領の宣誓を行うカマラ・ハリスを隣で静かに見守る夫のダグ(右)。写真:代表撮影/ロイター/アフロ

現地時間1月20日、アメリカ史上初の女性副大統領が誕生しました。その女性カマラ・ハリスは、新大統領ジョー・バイデンの「国をひとつにする」というメッセージを象徴するかのような紫(民主党のカラー青と、共和党のカラー赤を混ぜた色)の素敵な服装で出席。彼女らしい、エネルギーを感じさせる笑顔は印象的でしたが、その横で立っている彼女の夫の誰よりも嬉しそうな姿もまた、人々の好感を集めました。

カマラ・ハリスのインスタグラムより


アメリカで初の“セカンドジェントルマン”となったこの男性ダグ・エムホフもまた、歴史を変えた人。ロサンゼルスでエンタメ業界関係の弁護士としてキャリアを築いてきたダグは、二番目の妻であるカマラが副大統領に就任するのを受けて、弁護士事務所を辞め、一緒にワシントンD.C. についていくことにしました。女性が職場で活躍するアメリカでも、これはあまり頻繁に見るパターンではありません。しかし、実はすばらしい前例があります。女性の権利のためにずっと闘ってきた、故ルース・ベイダー・ギンズバーグ最高裁判事と、その夫で弁護士のマーティン・ギンズバーグです。

 


最高裁判事である妻を支えた夫・マーティン・ギンズバーグ

1993年8月、連邦最高裁判事に就任した際に宣誓をするルース・ベイダー・ギンズバーグと、彼女と共に聖書を持ち微笑む夫のマーティン。写真:AP/アフロ

ルースとマーティンは、コーネル大学で知り合い、1954年に結婚。夫婦は共にハーバードのロースクールに通い、子育てをしつつ学業をこなしました。卒業後、マーティンがニューヨークの弁護士事務所に就職すると、家族が一緒にいられるよう、ルースもニューヨークにあるコロンビアのロースクールに編入します。ルースも仕事を始めてからは、当時には珍しくマーティンは積極的に家事を分担し、とくに料理は完全にマーティンの担当となりました。

クリントン大統領が最高裁の判事をひとり任命する状況になった時、誰よりもルースを推したのも、マーティンだったと言われています。いざ、ルースが任命されると、マーティンは、「妻が良い仕事をもらえたから、ワシントンD.C.に引っ越すんだ」と、誇らしげに周囲に語りました。就任の席で、ルースはマーティンについて、「私たちが出会った時から、彼は、それが家の中であれ、外であれ、女性の仕事は男性のそれと同じだけ重要だと信じていました。このすばらしいパートナーの努力なしに、今私がここにいることはあり得ません」と言っています。この時のマーティンは、ダグと同じように、本当に嬉しそうに微笑んでいました。

しかし、ルースも、カマラも、決して「してもらってばかり」ではありません。夫の愛とサポートを受けるに値するものを、彼女たちもしてあげています。ロースクール在学中、マーティンがガンを患った時、ルースは、自分の授業だけでなくマーティンの授業にも出てノートを取り、マーティンの学業に遅れが出ないようにしました。小さな子供がいる中で、それをやったのです。

 
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