手作業の手間が「楽しい」と言う杉浦さん。じっくり作られた一つ一つの原稿が、今、この手元にあるのだと思うと、本からぬくもりが伝わってきます。
コロナでお店が休業や掲載不可に
するすると自由に動く絵筆のように、楽しそうに作品への想いを語っていたトーンが、唯一、曇った瞬間がありました。
──今回この本を出すにあたって、新型コロナウイルス感染症による影響はありましたか?
杉浦さん はい。取材が全て終わり、本にまとめようという段階でコロナ禍になり、3 ヶ月程作業がストップしたんです。
再開後も、休業中でなかなか連絡を取れないお店がいっぱいあって……。その頃は本当に不安でした。世の中がこの状態の時にこの本を出していいんだろうか、など、迷いもありましたし、「誰が読んでくれるんだろう?」と不安を覚えながら描いていました。
休業中のお店を掲載できなくなり、急遽、他のお店に追加取材へ行ったのが久しぶりの外出だったとのこと。本作は、いつもとは違う緊張感があったそうです。
新刊に添えられた「マーマリングトーク」には、休業中のお店がそっと、掲載されていました。 まるで友達を心配するかのような、杉浦さんの心遣いが感じられます。
──今回はお出かけの本ですが、他にもお引越しの本などさまざまなテーマの本を出版されています。過去に出版された婚活本『結婚できるかな?』には驚かされました。
杉浦さん 『レンアイ滝修行』というタイトルで始まった雑誌連載では、「最終回は私の結婚式です!」と宣言したのですが、それは叶わず。連載終了後に結婚し、本にする時には間に合ったのでよかったです(笑)。
創作しているもののテーマは、編集さんからのリクエストに、私の描きたいことをすり合わせていくことが多いです。好きなことや趣味が繋がっていく感覚でお仕事させていただいています。
一方で、描きたい、と思うものもあります。実は私、映画の本を出版したいという思いからイラストエッセイというスタイルにこだわり始めたのです。ところが、映画の本はなかなか売れづらいという事情もあり、初作を出版してから13年目にようやくその思いが叶ったのです。
他にも、『おたのしみ歳時記』という本は娘が生まれて行事を頑張るようになり、生活が楽しくなったことをきっかけに作りました。テーマを探すというより、その都度その都度でいろいろな楽しみが見つかって、それを描いている感じです。
自分が一番楽しむこと!伝えたい相手を一人置いて描いています
──最後に、杉浦さんが本や物作りをされる上で1番大切にされていることを教えてください。
杉浦さん 自分が1番楽しむことです!取材するときも、散歩するように普段通りに楽しむ。自分が楽しいと、楽しい絵が描けますが、そうではないとすぐに読者のみなさんに伝わってしまうので、楽しむことが第一だと思っています。
ずっと、友達に「こんな面白いことがあったよ」と伝える気持ちで描いています。頭の中にいつも伝えたい相手を一人置いて描いているような感じです。
手作りの新聞から、雑誌の連載、たくさんの著書……。伝える相手が増えていっても、いつも友達に「楽しい」を伝える気持ちで描き続けている杉浦さやかさん。
そんな姿勢が、描かれた場所への愛情や、読者への親しみある眼差しを届けてくれているのかもしれません。
「好きなことを仕事にする。」誰もが一度は思い描くことかもしれません。でも実現すること、そして継続することは、きっと簡単なことではありません。杉浦さんのお仕事を支えているのは、ご自身の「好き」を叶えるパワフルなプロモーション力でした。
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悠さん
建築巡りがすきな元図書館司書。周りの誰かと自分自身をcareする人に、寄り添えるような読書空間をつくることが夢。よく歩き、よく転びます。