週末は春のような暖かさでしたね。花粉も飛びはじめました。鼻の奥で春に一歩一歩近づいていることを感じます(笑)。それでも春の気配は嬉しいものですね。ただこの10日間くらい、私はあることでずっとモヤモヤしています。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の発言をめぐる一連の動きについてです。

 


東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が問題とされる女性蔑視発言をしたのが2月3日。国内外から批判が集まり、4日に発言を撤回、謝罪しましたが留任を表明しました。


「森会長の処遇の検討及び再発防止策を求める」署名は、6日時点で10万人を超え、11日に森氏が退任を表明、川淵三郎氏(84)を後継指名しましたが、12日に組織委員会と五輪相は「後任人事は白紙であり、正式なプロセスを経るべき」と発表。後任の会長人事に関して候補者検討委員会を設置する方針が明らかにされました。


日本において性差別発言を周囲が笑って受け流してしまうことがまだまだあること、そして大事なことは相変わらず密室で決まっていること、問題の本質が理解できなかった組織委員会の対応が二転三転したことなどへの疑問、いらだちはもちろんあります。が、何よりモヤモヤしたのは自分自身の「わきまえ癖」についてでした。
 

 


「森会長の処遇の検討及び再発防止策を求める」署名は、2月15日(月)正午現在15万筆を超えました。この署名活動を立ち上げたのは,、スウェーデンの大学院に在学中で、世界の避妊活動について紹介する#なんでないのプロジェクト代表を務める福田和子さん、一般社団法人Voice Up Japan 代表で、現在はチリでフィンテック企業を経営する山本和奈さん、社会や政治について知り行動するU30を増やすべく活動している、一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN 代表で都内在住の大学生・能條桃子さんら。いずれも25歳以下。


「(組織委員の女性は)わきまえておられて」という森氏の発言に因んで、
#Don’t be silent #わきまえない女 とハッシュタグをつけた抗議活動は広がりをみせ、Choose Life Projectが行った緊急ライブは11万回再生を超えています。

 

ここには、署名の発起人の皆さんをはじめ小島慶子さん、文筆家の佐久間裕美子さん、弁護士の太田啓子さんほか25名の女性たちが出演されていたのですが、印象的だったのは「とはいえ、私もわきまえ癖があって」と話していた方が少なくなかったことでした。

私たちは、性差別について、また重要なことが密室で決められることについて等、違和感を感じても大きな声で反論することは「スマートじゃない」暗黙の了解の中で生きてきた気がします。私自身も社会人1年目は戸惑いつつ、でも年齢を重ねることにその場を器用に切り抜けることばかり上手くなってしまい、30歳になる頃にはほとんど「匠の域」に達していました(笑)。

能條さん、福田さん、山本さんたちが「こんなことは私たちの世代で終わりにしたい」と繰り返し話しているのを聞くたびに、胸がちくちくします。


彼女たちの主張は、森さん個人への批判よりも、多様な人が平等に参加できる社会、声をあげやすい社会にしたい、会議ではさまざまな意見が交換され、意思決定は透明性のある場所で行われるべきだ、という当たり前のことが当たり前になるためにはどうしたらいいか、ともに考えたい、対話したい、ということなんですね。

またこの署名によって「対立を生まないようにするのにはどうしたらいいのか」ということにも彼女たちは心を砕いています。「対立と分断の気配」は、良心ある人々の行動も制限してしまいます。性差別を無くそうと主張することは、男性にとって、あるいはジェンダー平等じゃない社会や組織にあって、問題は認識しながらも声をあげずに頑張ってきた女性にとっても脅威かもしれない。でも彼女たちが思い描いているのは、性別に関わらず、生きやすい社会へのビジョンなんです。

長年の「わきまえ癖」を急に変えることは簡単ではないですが、社会でも会社でも「私も賛成します」「私はそうは思いません」という意思表示の機会は増えていると感じています。


署名は「森会長の処遇の改善」「再発防止策の実施」「女性理事の割合4割
達成」を日本政府(菅義偉首相、橋本聖子大臣) 、東京都(小池百合子知事)、日本オリンピック委員会(山下泰裕会長)、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(森喜朗会長)に求めるもので、もとより「森会長の辞任」だけを目的にしたものではありませんでした。

「森さんは辞任したんだからもういいんじゃないか」「功績もあるのに」と議論はすぐうやむやになったり、すり替えられたりしがちですが、16日(火)に署名提出予定ということですので、この問題の行方を見守っていきたいなと思っています。


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