「それをやるのはミモレっぽくないからイヤです」
――仕事をする上でのポリシーは?
「これはミモレっぽくないからやらないほうがいいんじゃないか」とか、「それを大草さんに言わせるのは違うんじゃないか」とか、そういうことは結構いうかもしれない。
元々はあまり主張するタイプではないんですけど、チームマネジメントを引き受ける立場にもなってきて。後輩やスタッフの方たちに我慢を強いるよりは、私が“面倒くさい人”でいた方がいいかなと、頑張って主張するようにしています。
やりたいこと、実はあんまりないんです
――「何をやらないか」も大事なんですね。逆に編集者として、何も制限がなかったらやりたいことってありますか?
正直あんまり、やりたいことってないんですよね。”置かれた場所で咲きます”方式でやってきたから(笑)。
「ミモレが有名になるために」とかっていう目的があればお応えできるんですけど。「私がミモレにいるからやりたいこと」っていうのは実はあんまりなくて。
例えば「忙しい人に向けて“着るだけで洒落て見える服”を伝えたい」って気持ちはあるんですけど、「私が着ている何かを伝えたい」っていう気持ちはあまりない。
――そうだったんですね。"バタやん"さんがミモレでご紹介しているファッションや小物が好きなんですけど、どういう視点で選んでいますか?
読者に近いメディアなので、よくコメントくださる方はお名前を憶えていて。「この人は身長が153センチ」とかニックネームを見ればたいてい覚えています(笑)。なので、「あの人この記事読んでくれるかな」とかって思いながら書いています。
特に〔ミモレ編集室〕が始まってからは、お顔が思い浮かんだりする分、よりクリアに想像できるようになりました。
才能ある人がちゃんと稼げる世の中に
――編集者の仕事をやる喜びとは?
この仕事をしていると、いろんな才能のある人とご一緒できるんです。作家さんもいれば、スタイリストさん、ヘアメイクさん、メーカーで服や化粧品を作る人などなど。そのすごい才能をお伝えできるっていう喜びがありますね。
――自分の仕事によって、世の中がどうなったらいいと思いますか?
最近強く思うんですけど、今言ったような才能ある人たちが、ちゃんとビジネスとして儲かってないといけないなって。「好きなことをやれていれば貧乏でもいい」ってことじゃなくて、ちゃんと稼げて、憧れや夢があってほしい。
私、あんまり“コミュ障”とか“陰キャ”という言葉が好きじゃないんです。自己アピールや人付き合いが苦手でも、才能がある人ってたくさんいるじゃないですか。そういう人たちも、ちゃんと尊重されて活躍できて、楽しみの多い社会だといいなあって。
その一つが、読書やドラマや映画だったりするのかなと。そういう気持ちもあって、いいなと思った作品をおススメしています。
編集者は“何色にもなるカード”
――最後に、ご自身にとって“編集者”って何でしょうか?
このコロナ禍で「取材の人数を最小限にしてくれ」って言われることがあって。
そうすると、「カメラマンさんには居てもらわないといけない、ライターさんにも居てもらおう、私は居なくていいか」って思うことも(笑)。編集者って何の専門家でもないから。
でも逆をいうと、もし「一人しか来られない」ってなったら、自分で写真も撮って原稿も書いてって、「どっちもできなくないかも」って思う瞬間もあったんですね。
カードゲームのウノとかで、何色にもなるカードがあるじゃないですか。ああいう感じかもしれない。
媒体が変われば、また全然違うカラーで仕事を進めていくので、"自分"っていうものがないことが良かったりもする。ちょっと逆説的ですけどね(笑)。
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「得意なことは?」、「やりたいことは?」の質問に、意外にも「あんまりないんですよね……」と仰る川端さん。「これが絶対やりたい」という強いこだわりがなくても、活躍する方法はあるんだなと思いました。親近感を覚えると共に、才能ある人たちや一緒に仕事をする人たちへの思いには気概を感じ、ますますファンになってしまいました。
〔ミモレ編集室〕では、現在第4期メンバーを募集しています。ご入会後も合わないと感じたらいつでも退会可能です。少しでもご興味を持たれた方は、お気軽な気持ちで覗きに来てくださいね。
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マイさん
ジョブチェンジしたばかりで、ファッションも見直し中。 気になるテーマは、広い意味でのサステナブル。
"ほっこりしないエシカル・ファッション"を模索したい。ゼロイチでなく、"どちらも選べるなら、持続的な方を選ぶ"を積み重ねる。
美容と料理はコスト(手間含む)パフォーマンス重視。