こんにちは。〔ミモレ編集室〕のmimosaです。

ライターであり漫画家、現在ご家族とともにシンガポールで暮らす栗尾モカさん。
私が栗尾さんのコミックエッセイのファンで、ファンレターを送ったことがきっかけで交流が始まりました。

ファンになったきっかけの大好きなコミックエッセイには、栗尾さん自身のC A(キャビン・アテンダント)、ライター、海外での駐在妻経験など、様々な立場で得た前向きに楽しく生きるためのアイディアが、キュートなイラストで描かれています。

コロナ禍ですっかり生活が変わってしまい、明るく毎日を楽しむにはどうしたらいいんだろう?と考えていた時に、栗尾さんと話せば何かヒントが見つかるかもしれない!とインタビューを思いつきました。
栗尾さんのこれまでのお仕事でのエピソード、そして、今取り組んでいるテーマには、どんなにピンチな時でも前向きで居続けるヒントがたくさんありそうです。
 

明るい気持ちで居続けるCAのマインドセット


――まずはCAを目指したきっかけを聞かせていただけますか?

20代の前半に海外の色々な国に行っておいた方がいいなと思っていました。休みに海外に旅行というのではなくて、仕事として短期間で色々な国を回れるのが効率がいいと思いCAを目指し、日本とベトナムの航空会社に合格することができました。その頃のホーチミンはドイモイと呼ばれる経済刷新を行っていて、とても活気のある時期だったので面白そう!と思いベトナムでの就職を決めました。

 

――漫画に登場している、一緒にCAを目指していた同級生もとっても素敵な方ですよね。

そうなのです。とても努力家で。一緒にランニングをした後に彼女の家に寄ると、いつも「この本面白かった!」と言いながらお薦めの経済や歴史の本を渡してくれました。今は幸せな結婚をして子供2人はロンドンのボーディングスクールで学んでいます。国際結婚をしている友人たちの多くは強運な人が多く、その引き寄せのコツのひとつには海外の本やメディアから情報を得ていることも含まれると思います。仕事や医療、教育など幅広いジャンルにおいて日本語に翻訳されていない情報を早い段階で入手しています。タイミングがいいんです。そうすることで道が拓けることがあるのだな、と強く思いました。

 

――それだけ前向きで運の強い人と一緒にいると良い影響を受けそうですね。

彼女だけではなくCAのマインドセットにすごく影響を受けました。それぞれ好奇心が旺盛で、人生を楽しみたいという絶対的な基盤がある人たちなのです。なおかつ、移動は気持ちのリセットにとてもいいみたい。毎回違うチームでフライトをするので、その場のチームワークをしっかり組んで、明るい雰囲気でやり遂げていくというのも、達成感があり気持ちが切り替わっていいんでしょうね。同僚のCAは到着地について、疲れてホテルですぐに眠るかと思いきや、着替えてすぐにジムに行って走っていました。徹底的に疲れて、ぐっすり寝て、元気になる。このリセットがいいんです。現地でのお買い物も気持ちを上げるし、メンタルにも効果があるんですよね。

――気分転換が上手なんですね!皆さん自己管理にも気を遣っていましたか?

風邪なんて引くのはだらしないという雰囲気が社内にあったので、自分のメンテナンスやケアを誰もが心がけていました。また、不平不満は言わないことになっていて、「暑い」「寒い」「疲れた」などが禁止ワードだったんですね。「疲れた」というかわりに同僚にお茶を入れてあげる。明るい気持ちで居続けることを心がけて、ホスピタリティもある。そういうマインドセットをみんなが共通して持っているので、雰囲気は悪くなりようがないんです。

――疲れたと言うかわりにお茶!見習いたいです。CAの職場は明るく前向き、とっても良い職場ですね!

確かに良い環境だったと思います。明るいことは事実なのですが、常に危険と隣り合わせなので「もしもの場合」に対する準備もしていました。地上勤務のときには非常事態に関する知識を整理するため、かなりの時間を費やします。電話帳2冊分ぐらいの厚さのマニュアルを丸暗記していました。今はコロナの影響で大変な状況ですが、CAを経験した人は、自分がいかにニュートラルでいられるかということ、こうなったらこうしようということを常に考えていて、危機管理のアンテナを立てていると思います。私も、すごく悲劇的な状況はこれまで色々とありましたが、人前で明るさを保ちつつ自分をメンテナンスするCA時代の訓練が生きているので乗り切れている気がします。

――そんな素敵なお仕事のCAを辞められたきっかけはなんだったのでしょうか?

色々得るものは大きい仕事ですが、長くなると手に職があるわけではないので辞めた後、つぶしが効かないと個人的に思っていました。CAをやっている間に何か別のことを学ばないと後々苦労するので、それぞれみんな資格を取るなどして頑張っていました。私は次は出版社だなと思っていたんです。