結婚をすると、お金の問題も自分ひとりだけのものではなくなります。特に、共働きの家庭はパートナーとの話し合いが必要不可欠ですよね。無用な摩擦を避けるためにもぜひ参考にしていただきたいのが、経済評論家・加谷珪一さんの著書『お金で絶対に苦労しない方法を教えてください!』(プレジデント社)です。将来に不安を抱える独身女性・西園寺花子さんに、加谷さんがお金の講義を行うという会話方式で構成される本書。意見が噛み合わず、収拾がつかなくなりがちな家庭の“どっちがいいの?”問題についても、お金のプロである加谷さんがズバッと答えを教えてくれます。今回は、気になるその内容を一部ご紹介します!
【家庭のお金のギモン①】
夫婦の財布は一緒にするべき?
西園寺花子さん(以下、西園寺):今は共働き夫婦も増えていると思いますが、結婚したらお財布は一緒にするのがいいんですか?
加谷珪一さん(以下、加谷):よく聞かれることですが、これは明確に答えは出ていまして、財布は絶対に一緒にすべきです。家庭は「運命共同体」と言いましたが、もっと端的に言えば、2人で「会社」を経営すると考えるとわかりやすいですね。
夫婦それぞれが独自に収入源をもって、独自にお財布を管理するというのは、会社でいえば独立採算制の「事業部制」ということになります。同じ看板を掲げつつも、お互いがそれぞれ事業を行うスタイルです。各部門がきちんと稼げて、単体でもやっていける実力があるのであれば、事業部制はうまく機能します。でもその一方、あちこちにムダが生じ、お互いの利益関係をうまく調整できないという仕組み上の欠点も抱えています。ですから、各部門の収益力が弱い場合は、事業部制は裏目に出ます。
収支については財務や経理部門で一元管理したほうが圧倒的に効率がよく、ムダや失敗がでにくい。事業部制を取っている企業があまり多くない理由はそこにあります。
西園寺:その場合、具体的にどうやって「財布を1つ」にすればいいんですか? 給料は別々の口座に振り込まれるわけですが。夫婦共通の口座を別につくって、そこに移せばいいんでしょうか?
加谷:例えば、賃貸住宅を借りるなら、たいていの場合、いずれか一方の名義で契約しますよね。であれば、家賃が引き落とされる口座を1つ用意して、そこに2人の給料から必要なお金を振り込んで、家賃以外も含めた生活費全般を管理するのが一つのやり方です。
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