ミモレのコミュニティ〔ミモレ編集室〕の福原美和子です。夫婦で消防署に勤務しておりますが、東日本大震災をきっかけに防災の部署に異動し、今では地域や学校などで防災についての啓蒙活動を行っています。
10年前のあの日、私は3年間の育児休業中で、半月後に職場復帰することが決まっていました。ちょうどスーパーで買い物をしていて、突然の大きな揺れとともに棚の商品が崩れ落ち、悲鳴が聞こえ、店内はパニック状態に陥りました。とっさにその場で、頭を抱えて亀のようにうずくまったことを覚えています。
揺れがおさまってから、急いで慣らし保育のため保育園に預けていた当時1歳の次男を迎えに行きました。帰宅すると仕事が休みだった夫が割れた食器を片付けていましたが、終わるとすぐに消防署に出勤していきました。東京では震度5強を観測しており、東京消防庁の職員は震度5強以上で全員が消防署に出勤することになっているからです。3歳だった長男はちょっとした物音を怖がるようになり、楽しみにしていた職場復帰は不安一色に変わりました。
地震だ!そんなときどうするの?
ママ友やご近所さん達からは、震災を機に防災について聞かれるようになりました。当時よく聞かれたのが、
「火を消すのが先なの?身を守るのが先なの?」
「地震だ!火を消せ!」というのは、関東大震災以来長い間使われてきた標語ですが、慌てて火を消そうとしてけがをする事例がたくさん報告されています。今は感震装置のおかげで、まず身を守って揺れがおさまるまで待ち、それから火の元を確認します。消防署では担当部署を中心に広報していたはずですが、伝え方が不十分だったことを知り、愕然としました。情報は相手に伝わって初めて役立つものなのです。
手に届くところに防災情報があれば、みんなが安心できるはず。
防災情報が役に立てば、大地震が来ても誰もけがをしないし、命を落とさないはず。
3年間職場を離れて専業主婦をしていた私なら、地域目線で防災情報を発信できるのではないか――――
そんな思いが強くなり、防災担当部署に異動希望を出しました。
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