その「今までは躊躇していたこと」のひとつが、監督業。もともと映画の世界に憧れて、表現の道を選んだ津田さんは、2019年公開の実写映画『ドキュメンターテイメント AD-LIVE』で初の映画監督に挑戦しました。

 

「役者業と監督業、どちらもやり続けていると両方が中途半端になる気がして。本格的に役者の仕事をやるようになってからは、ずっと映画をつくりたいという夢は封印していたんです。だけど、この年になったらもうそんなことは言ってらんないぞと(笑)。それまでは自分のやりたいこととかあんまり人に言うことじゃないのかなと何となく思っていたんですけど、40を過ぎたあたりから気にせず周りに言っていくようになりました」

『Free!』の御子柴清十郎から『呪術廻戦』の七海建人まで、この10年で演じてきた役柄は実に多種多彩。さらに2020年は、連続テレビ小説『エール』で語りにも挑戦。アニメファン以外にもその名前を広く知らしめました。

 


アニメ『どすごい すしずもう』は癒しをくれる作品です


そんな津田さんの最新作が『どすこい すしずもう』。アンマサコさんによる人気児童書をアニメ化。津田さんは、なすび親方を演じます。

「とっても癒される作品ですよね。キャラクターもみんな可愛いし。短編ですから、忙しい方でもスキマ時間に軽く観れちゃう。今日も1日疲れたな〜というときに、このアニメ『どすこい すしずもう』を観れば、きっと心がほぐれるんじゃないでしょうか」

アニメーション制作を担当するのは、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ、『永遠の0』『STAND BY ME ドラえもん』『シン・ゴジラ』のCGやVFXを手がける白組。フルCGアニメーションで描かれるすし力士たちの取り組みを観ていると、自然と優しい表情になっていきます。

「白組さんのCGアニメーションは本当にすごいんですよ。動きが細かくて、たとえば玉子の質感だったりネタの光り具合まで緻密にこだわっている。きっと日本のアニメーション技術のすごさを感じていただけると思います」

とろけるような低音ボイスが魅力の津田さん。けれど、今回のなすび親方ではいつもの津田さんの美声とはまた違う声の演技が楽しめます。

「最初はもっとおじいちゃんっぽくしわがれた感じでやってみたんですね。そしたら監督からもっとふわっとした感じでいきましょうとリクエストをいただきまして、今のようなお芝居になりました。僕自身、これまで激しい役が多かったので、こういう作品自体が新鮮。とても楽しくやらせてもらいました」