明治維新を経済面で成し遂げた知られざる英雄・五代友厚の波乱の生涯を描いた映画『天外者(てんがらもん)』
俳優・三浦春馬さんが出演を熱望したこの作品には、隅々にまで彼の志が生きていました。
同作を小説化した『映画ノベライズ 天外者』だけで読める、映画の知られざる物語とは。そして、コロナ禍の中、封切られた映画に込めたメッセージとは……脚本家・小松江里子さんが語ります。

コロナ禍は時代の変わり目。ぜひ「前へ進む人」になって【映画『天外者』原作者・小松江里子さん】_img0
 

小松江里子
大阪府出身。1990年放送のテレビドラマ『卒業』(TBS系列)で脚本家デビュー。代表作に『若葉のころ』『青の時代』『Summer Snow』『元カレ』、NHK連続テレビ小説『どんど晴れ』、NHK大河ドラマ『天地人』『花燃ゆ』など。2010年に始まった『花嫁のれん』はシリーズ4作が世界約40カ国で放送中。映画脚本に『利休にたずねよ』『サクラサク』『海難1890』がある。2008年に橋田賞、2010年に『天地人』でエランドール賞、『海難1890』で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。近作に『隕石家族』『明治開花 新十郎探偵帖』、4/7よりテレビ東京系深夜枠「ドラマParavi」で『理想のオトコ』が放送開始(動画配信サービス「Paravi」で3/31より先行配信)。

 


三浦春馬さん、三浦翔平さんの友情が、五代と龍馬をさらに輝かせた


映画『天外者(てんがらもん)』で五代友厚とともに作品の中で輝く人物が、幕末の象徴ともいえる坂本龍馬。演じる三浦翔平さんは、実生活でも三浦春馬さんと親交が深かったことで知られています。

「龍馬は、絶対に出したかったですよね。幕末を象徴する存在だし、龍馬と五代は言うなれば『光と陰』ですが、二人が一緒に活躍することで、ヒール(悪役)的だった五代のイメージも上がるでしょうし……。実際に仲のいい春馬さん、翔平さんが演じたことで、二人のキャラクターがより生き生きと輝いたように思います。翔平さんをはじめ、岩崎弥太郎を演じた西川貴教さん、伊藤利助(のちの博文)を演じた森永悠希さんなど、出演した俳優さんたちは、今一番勢いのある方々。キャストの中には、春馬さんが自ら声をかけてくださった方もいらっしゃったと聞いています」

五代が若き日に愛した女性・はる(演・森川葵)亡き後、明治維新以降の五代の活躍を見守った妻・豊子を演じたのは、蓮佛美沙子さん。自らの夢の実現にまい進する五代を強い意志で支える横顔が印象的です。

「凛々しく、母性的な女性ですよね。はるとのことも、おそらく知った上で、五代のすべてを理解し受け入れているのでしょう。映画では時間の関係で残念ながらカットされましたが、故郷の薩摩を追われた五代を豊子が受け止め、心を通じ合わせる場面など、ノベライズには映画で描かれなかったエピソードや場面がいくつか収録されています」

 
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