――コロナ禍では、役者さんたちもお仕事がなくなって大変だった時期もありましたが、ともさかさんはどう過ごしていたんですか?
稼働できなかった去年の春先はやっぱり衝撃的で、役者仲間と口を揃えて「役者って何にもできないね」っていう話をしていました。
もちろんいろいろな選択肢はあると思うけど、そもそも役者って、役柄や台詞、そのシチュエーションを与えられて初めて成立する職業だから。
そう考えると、私たちの仕事は本質的に、完全に閉ざされてしまったなと。無力すぎてびっくりしました。
それまでは考えたこともなかったインスタライブを初めてやったのも、今だったら役を通してではない、そのままの私を見てもらっても面白いかなと素直に思えたからです。
画面に自分しか映っていないこともあって、誰も見てないような気分で喋っていたけど、あの時間をみんなでシェアできるって、改めて面白いツールだなと思いました。
――コロナ禍でともさかさんとSNSで直接交流できるのは嬉しいことでしたよ。
何かを発信するときに、自分が本当に面白がっているか面白がっていないかは、ものすごく重要だと思っています。
私自身、インスタライブはとても気楽に、友人とお喋りしているような感覚になれるから。みなさんから教えていただくことも多いし。これからもコンスタントに続けていけたらいいなと思っています。
――最後に、女優、母、そして自分という立場がある中で、ともさかさんはどうバランスをとっているのか、教えてください。
厳密に言うと、バランスはとれていないんじゃないかな。
どうしたって仕事が大変なときは仕事に比重がかかってしまうし、子供が受験のときは舞台の本番中だってそのことをふと思い出したりしてしまうこともありました。
だから結局、いつも綱渡りだけど、でも、その時の精一杯で仕事にも子供にも向き合う、それに尽きるような気がします。
今は若い頃みたいに寝る時間もないような仕事の仕方はしていないけど、でも役者の仕事って暇な時と忙しい時の差が激しいから、自分では季節労働者という認識です。
息子も大きくなってきて、お願いすれば、買い出しや夕飯の下準備とか色々やってくれるので助かっています。子供にも役割を与えることって大事ですよね。
息子の成長と共に、自分のことを考える時間も増えてきて、生活と仕事の切り替えも、よりスムーズになってきている気がします。
まぁ相変わらず、その日の撮影を振り返って、こんなふうにできたんじゃないかな、あんなふうにもできたんじゃないかなとあれこれ悔やむこともあるけど、役者の仕事って、そもそも終わりのないものなんだと思います。
スタイリスト/斉藤くみ
ヘアメイク/伴まどか
取材・文/細谷美香
構成/片岡千晶(編集部)
mi-molletで人気があったため再掲載しております。
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