ミモレの読者の方の中には、「40代になり、これまでいろいろなことを一通り経験してきたからか、最近、新鮮な気持ちになりづらい自分がいる……」そんな風に感じている方もいるのではないでしょうか? 実際、mi-molletのお悩み相談コーナーにも、そういった声が多く寄せられています。

そこで、この春、49歳にして歴史ある雑誌『暮しの手帖』の編集長を辞し、まったくの異分野であるIT系企業・クックパッド株式会社に入社した松浦弥太郎さんに、インタビューを行いました。
『暮しの手帖』の編集長となって9年。すべてをリセットし、ゼロからのスタートを切った理由と現在の心境を伺います。

【松浦弥太郎さん インタビュー】<br />初々しさを忘れない VOL1._img0
49歳にして人生の再スタートを切った松浦弥太郎さん。

55歳の自分を想像して

「昨年、49歳を迎える頃に、いよいよ50だなあ、残されている時間も少なくなったなあ、と感じたんですよ。そのときふと、55歳になった自分を想像したんですよね。9年間続けて、一段落ついた『暮しの手帖』の仕事とこれからどうやって向き合っていくかと考えた時に、新しい目標なり、チャレンジを見つけることができなかった。それなら新しい世界を見てみたい、そのチャンスがあるのではと思いました。」

10代で単身渡米。大好きだった本屋に入り浸り、たくさんの古本や写真集に触れる生活を送った松浦さんは、帰国後、今や当たり前となったセレクト書店の先駆け的存在となる「COW BOOKS」をスタートさせる。そのセレクトセンスが話題となり、伸び悩み期を迎えていた人気生活雑誌『暮しの手帖』の編集長として迎えられた。その後、『暮しの手帖』はイメージを一新させ、誰もがその名を知る人気誌となる。それでも松浦さんは、その実績の上に安住することに抵抗を覚え、「やったことのないことをゼロから始めたい」と思ったのだという。