「薬は風邪のひきはじめに飲むといい」は本当?
風邪をひいたという時、「このサプリメントを飲んで、この食べ物をたくさんとるとすぐに良くなりますよ」という魔法の言葉を贈りたい気持ちもありますが、残念ながら現実はそうではありません。
まず、クリアにしておきたいことは、風邪には「治癒までの時間を早める」と証明された対処法や治療法がないということです。
それを聞いて、「そんなことはあるはずがない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。「薬は風邪のひきはじめに飲むといい」と言うじゃないかと思われるかもしれません。私自身、この言葉がどこからきたものなのか、よくわかりません。少なくとも、科学はそれを教えてくれてはいません。
「医師がすすめる風邪の予防法」といった記事を見かけることもありますし、ご家族や友人から「風邪にはビタミンCが豊富なあの食べ物が効く」「いい健康ドリンクを知っているよ」などといった話を聞いたことがあるでしょう。そんな経験から「風邪に効く」と信じるのも無理はありません。
科学的な根拠はあるのか
もしかすると、紹介してくれたその人にとっては本当にそうだったのかもしれません。しかし一方で、たまたまその食べ物を食べた時に風邪がよくなったのかもしれませんし、その健康ドリンクを飲んでいなくても風邪はすぐによくなっていたのかもしれません。それが仮に何度か繰り返されていたとしても、です。
自分の信頼する人、あるいは仲のよい誰かの経験は、科学よりもずっと馴染みやすい話でしょう。ですが、その経験が偶然か必然かは分からないという点に注意が必要です。たわいもない日常生活の話ならばそれでもいい訳ですが、特に健康に関しては注意してください。
そこで大切になるのが、それぞれの治療や予防にどのぐらい「科学的な根拠があるのか」という点です。
治療の有効性は、それが必然であり、因果関係があると科学的に証明できてはじめて、「これは有効ですよ」と多くの人にすすめることができるようになります。そうでなければ、間違いを起こしてしまう可能性があるのです。
そのような観点から、風邪についても数えきれないほどの数多くの研究が行われてきました。しかし残念ながら、これまで「こうすれば早く治る」ということを示した治療法はありません。
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