女性にも同じようなことはあります。女性の賃金は男性の75%ほど。非正規雇用で働く人も大半です。正社員として働いても、職場で女性の意見は通りにくく、男性の補助的な役割が多い。若い女性には職場の華であることが求められる。男性だらけの会議で「女性としての意見を」と振られることもある。それを「女だから注目してもらえる。女で得をしている」「女性の数は少ない方が、特別扱いしてもらえていい」と考える人も。不利な立場に置かれたハンデを特権だと思ってしまうのです。

でも、それは結果としてジェンダー格差を温存し、「男が主役、女は男の補助」を強化することになります。男尊女卑の呪いを解くには「職場で女性を性的な存在として扱ったり、その人自身ではなく女性代表としての意見を求めたりするのは、対等なメンバーとみなしていないから。そんな職場って、おかしいよね」と気づくことが大事です。闘っても結局潰されるだけだし、だったら女を武器にして男社会に適応すればいいという割り切りを、賢い選択だと思い込むのも、やめたいのにやめられない男尊女卑依存症と言えるでしょう。

依存症からの回復は、患者同士で語りを傾聴し合い、回復し続けていくことが重要だといいます。いま日本で、ジェンダーやハラスメントの問題が盛んに語られるようになってきたのは、回復の始まりと見ることができそうです。まずは誰もが「男尊女卑依存症」にかかっていると認識することが、スタートです。SNSなどで声を上げることも世の中を変える上で重要ですが、同時に、安心して話せる場でそうした傾聴の機会を増やすことも必要ですね。

 

前回記事>>“オリンピッグ”問題を考える。内なる「佐々木さん」にNOを

 
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