時代の潮目を迎えた今、自分ごととして考えたい社会問題について小島慶子さんが取り上げます。

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Z世代が人気です。「Z世代のトレンドを知りたい!」などの企画もよく見かけますね。世代で括るのは昔ながらのやり方だけど、その方が大人には伝わりやすい。デジタルネイティブで、SDGsとかジェンダーとかにも関心が高いZ世代に、今どきの常識を教えてもらいたい!という大人も多いです。

 


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若い人に学ぼうという謙虚さはとても大事。でもね、私、「教えてZ世代」系の文言には毎回モヤるのですよ。大人たちよ、基本的なことはまずは自分で勉強しようよ!Educate Yourselfだよ!若者を都合よく使わないで欲しいよ!と、彼らの親世代として強く思う。

SDGsは、流行りのお菓子じゃありません。人類全員にとって「命に関わる自分ごと」です。気候危機だって、プラスチックゴミだって、ジェンダー格差だって、人種差別だってそう。現状を変えるために、すぐに行動しないといけない。そこに切実な当事者意識を持ってアクションしている若者たちと、完全に他人事で自ら行動しようとしない大人たちとの断絶が問題になっているのです。

もし“ソーシャルグッドのために、自由に繋がり自ら行動している若者たち”という意味での“Z世代”の考えていることを本気で知りたいなら、まずは大人が当事者意識を持つことから始めないと。

「ほらほら、自分ら大人が君たちを光の当たるステージに立たせてあげるからさ、今流行りのSDGs、ほらあの、ジェンダーとか環境とか?についてキラキラした感じで話して!」って引っ張り出して聞くだけ聞いて、いいように宣伝と人集めに使って、結局SDGsに関してその大人たちの行動が何も変わらずに終わるなら、こんな失礼な話ってないと思う。そういううわべだけの社会語りに若者を利用するなよ、ってすごく腹が立つ。

大人たちが若者を“スター”に仕立てて、いかにも自分たちが新しい流れを作り出しているみたいな顔で商売を仕掛けるやり方にはもう、本当に飽き飽きしているし、全然対等じゃないし、人に対するリスペクトも感じない。

 
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