エスカレートする夫の行動で別居後さらに追い詰められていく妻


調停だけなら弁護士をつけずに自分一人でやろうと思っていたBさんですが、子どもの親権に影響する審判となると話は別、しかし2週間では弁護士を探す十分な時間も法テラスを利用する時間も、もちろん一人で準備する時間もありません。しかし裁判所に問い合わせても弁護士をつけないことには期日の延期すらできないという無慈悲な回答。

そこでネットで検索し、何カ所かに問い合わせて、急いで離婚に強いという大手の弁護士事務所に頼み、調停と審判にのぞむことにしたBさん。代理人(弁護士)を立てたことで、やっと期日の延期が可能になり、1回スキップして翌月からの審判開始となりました。

しかしBさんはさらなるショックを受けます。夫からBさんが監護者にふさわしくない理由として子どもへの虐待や精神不安定が主張され、その証拠として、以前義母に子どもを取り上げられパニックになった様子を収めた動画などが提出されていたからです。

「映ってないけど、母を殴る蹴るしていた証拠です」という嘘とともに。

 

義母からの嫌がらせと夫からのモラハラ、経済DV、相手から切り出された離婚に応じただけのはずなのになぜか始まった離婚調停、高額な弁護士費用、そして、してもいない暴力と虐待の疑いを晴らさなくてはいけないプレッシャー。

 

さらに苦痛だったのは別居している夫と子どもを会わせるための面会交流だったと言います。

当時は有名な「松戸の100日面会裁判」の家裁判決が出た直後。これは母親と100日面会させると計画表を提出した主たる監護者ではない方の父親が親権者になった裁判で、“日常的に子供の面倒を見ていた方の親が継続して親権者になることが子供の利に叶う”と考える監護継続の原則より、別居親とより多く面会交流させるとの主張した方の親を親権者とした判決として有名。後に高裁で判決が覆るもそれから今に至るまで“面会交流を拒むと親権争いで不利になる”と面会交流強制の口実となった悪名高き判例です。

Bさん夫婦においての主たる監護者、つまり子の面倒を主に見ていた親はもちろん母親のBさんです。しかし精神的にも経済的にもDVをされ、ありもしない虐待で訴えられてもなお、子どもを夫に積極的に会わせないと親権・監護権争いで不利になると自分の弁護士からも強く言われたというBさん。面会交流での子の受け渡しや連絡の調整などを親権者の代わりにサポートしてくれる面会交流の第三者機関を使いたいと言ってみたものの、離婚前の面会交流においてはそれも難しいと却下され、仕方なく調停をしながら、必死に一人で面会交流もこなしたといいます。

月に一度の直接面会とその合間のテレビ電話での間接交流。特にテレビ電話は2歳児には難しく、スマホ越しに「元気?」と聞かれてもキョトンとするばかり。ままならないやりとりに、Bさんが「元気って聞かれているよ? 元気だよね」と会話のアシストをしながら夫や義母の声を聞かなければならないという罰ゲーム。

子どものためと思って苦痛に耐えながら面会を実施しているBさんに対して、夫は「宿泊面会は2週間以上実施を求める」とか「母や知人を面会に同席させろ」「子どもを早く返せ! さもないと告訴する」などと、どんどん要求をエスカレートさせていきます。

そう、リーガルハラスメントです。

(次回につづく)
 

前回記事「義母と別居した途端、敵意むき出しになった夫が取ったまさかの行動」はこちら>>

 
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