自らもDVサバイバーでシングルマザーのソーシャルライター・松本愛さんが、DV当事者の「声」を丹念に拾い上げ、日本のジェンダー意識の遅れの実態をレポートします。公私ともにパートナーだった男性と授かり婚したBさん。しかし結婚後、夫の自己破産歴と、極度のマザコンであることが発覚。義母との別居に踏み切ったBさん夫妻でしたが、それを根に持った夫から経済的DVをされた挙げ句、離婚を迫られます。悩んだ末にそれに応じる決⼼をしたBさんでしたが、今度は振るってもいない暴⼒で訴えられてしまい……。
※個人の特定を避けるためエピソードには脚色を加えている場合もあります
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理不尽な要求をエスカレートさせていく夫
子どものためと思って苦痛に耐えながら面会を実施しているBさんに対して、夫は「宿泊面会は2週間以上実施を求める」とか「子どもを早く返せ! さもないと告訴する」などと、どんどん要求をエスカレートさせていきました。
そのストレスと恐怖に耐えて裁判を戦うBさんを襲う次なる試練は調査官調査。
調査官調査とは、このように子どもの親権や監護権、または子どもとの面会交流を求めて争う場合に行われる家庭裁判所による実態調査です。調査官が家庭や保育園等を訪問して子どもの様子や生活環境などを確認し、それをまとめた調査報告書をもとに家裁が審判を下すという重要なもの。しかしBさんの子どもは当時2歳のやんちゃ盛りで、生傷が絶えないお年頃。
けれど暴⼒を理由に夫から監護権を主張されているBさんは、調査が入るまでの間、少しの傷もアザも作らないよう必死になるしかありません。
そうして調査官調査が終わるまでは眠れなくなるほど緊張した日々を送ったというBさんですが、調査官調査は思った以上に丁寧でした。家を訪れてあったこと、そしてそのとき子どもとBさんがどのような反応をしたか。それが一般的にどのように評価されるのか、細かく書き記されていたといいます。
そして二人の反応全てにおいて特に問題はないという調査報告がされた結果、理不尽極まりない夫からの「子どもを違法に連れ去られた」という主張はやっと退けられ、監護者指定を勝ち取ることができたのでした。
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