皆さん、こんにちは。梅津奏です。

ミモレでブログを書き始めて気付けば三カ月が過ぎていました。月日が経つのは早いですね。昨年〔ミモレ編集室〕に参加するまで「文章は読む専門」と思って生きてきましたが、書くのって楽しいですね。

以前、「言葉の力」について書かれた本をご紹介しましたが、話し方・文章の書き方・小説家の裏話的エッセイのような本は大好きです。これまでは、読んで「へえ、そうなんだ~」と感心するだけでしたが、今では自分が文章を書くモチベーションを上げる為に読むことも。

 
 

そんな訳で今日は、私自身に対する処方箋です。
書くってなんだろう、どう書きたいだろうということを考えさせられた本を三冊ご紹介します。


「暮らしを変える 書く力」一田憲子

「好きを伝える」がコンセプトの〔ミモレ編集室〕でも「面白かった!」という声多数。「外の音、内の香」も愛読しています。

編集者・ライターの一田憲子さん。雑誌「暮らしのおへそ」ディレクター。暮らしや料理、仕事術などについてエッセイやインタビュー記事を書かれています。

私、一田さんの書くものが大好きで、講演会にも何度か行きました。インタビューすること・書くことを、自分の暮らしとしっかりリンクさせている、人間としての「巡りの良さ」を尊敬しています。

本書は、「届ける相手がいる文章」の書き方を綴った一冊です。ライティングを仕事にしていなくても、SNSのメッセージやメール等で文章を書くときに、どうしたら自分の言葉を「伝える」ことができるかということを分かりやすく解説してくれる、非常に実践的な内容。そしてさすが一田さん、ただのハウツー本では終わりません。


人は誰かに聞いて、見て、感じて「わかった」と思い込んでいることも、実は何もわかっていなかったりします。「書く」という作業は、「わかったつもり」になっている、もやもやと形が見えない何かを、言葉として形にすることで、自分の思考にきちんとした輪郭をつける作業なのだなあと、いつも思います。


一田さんによると、書くことは「まだ見ぬ自分と出会う」こと。

本やネットの記事を読んでぐるぐる考え事したり、もやもやしたり、友人とお喋りしたり。そんな風にしていると、「うんまあ、そんな感じだね」とうやむやに自分の中で決着がついてしまう感覚があります。そんなとき、文章に起こしてみると急に見えてくるものがある。その驚きと面白さが、根気強いと言われたことがない私も書くことを継続できている理由なのかなと思います。


「街場の文体論」内田樹

 

〔ミモレ編集室〕の目玉、編集・ライティング講座のバタやん先生がお勧めしてくださって読みました。そして、もう三回読み直しました。

哲学者・思想家の内田樹さんの「街場シリーズ」の一作。21年間勤務された神戸女学院大学での最終講義が下敷きになっており、内田さんがあとがきで書いている通り、「文学と言語について「これまでウチダが言ってきたことのまとめ」」となっています。


情理を尽くして語る。僕はこの「情理を尽くして」という態度が読み手に対する敬意の表現であり、同時に言語における創造性の実質だと思うんです。


本の中で徹頭徹尾、手を変え品を変え内田さんが伝えようとしているのがこのメッセージ。「分かる人が分ればいい」という考え方や、美しい言葉を使うとか、ロジカルだとか、そういうことは「言語の創造性」とは本来関係がない。それよりも、「頼むから私の話を聞いてくれ」という書き手の懇請、なんとか伝えようと言葉を尽くしなりふり構わず説明しようとする、そんな姿勢が大事なんだと。

まさに、そんな姿勢で書かれた本です。読んでいて、内田さんにグッと襟首を掴まれているような気持ちになりました。

日々入れ替わるベッドサイド本、一年近く置きっぱなしなのはこの二冊。
 


「職業としての小説家」村上春樹

 

村上春樹さんは、「街場の文体論」の中で「説明する力の高い三人の作家」の1人に挙げられています。私は村上さんと内田さん両方のファンなので、内田さんが村上作品について語る文章を読むのが大好き。

そんな村上さんの、貴重なお仕事エッセイがこちら。小説を書くことについて語ることが、とりもなおさず自身の半生について丹念に振り返ることに繋がっている。まさに「書くことは生きること」の人なんだなあと改めて思いました。


それに対する僕の答えはただひとつ、とてもシンプルなものです―――基礎体力を身につけること。逞しくしぶといフィジカルな力を獲得すること。自分の身体を味方につけること。


小説を書くということは、一人で机に向かいこつこつと書き続ける作業。そして物語を語るということは、意識の下部に降りていき、暗闇の中で形にならない何かを見付けてくること。それを仕事としてやっていくには何が必要か?という問いに対する村上さんのアンサー。村上さんは、熱心なマラソン・ランナーでも有名ですね。

「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」のかは私には分かりませんが、健全な身体だからこそ何かをなせる、というのは一つの真実だなと思います。

 

こんな感じでしょうか。
さて今週の「書き高」は、ミモレブログ2本、ブログの下書き1本、〔ミモレ編集室〕でブログ2本、ブログのコメント返信、手紙2通、Instagram2投稿、LINEたくさん、仕事で資料作成・メールたくさんです。

今週も皆さん、お疲れ様でした。今年のGWは、きっと読書がはかどりますね。

 

村上朝日堂シリーズの「うずまき猫のみつけかた」。安西水丸さんのイラストと村上さんの文章のタッグが好きでした。この本の冒頭でも、「この本の基本的メッセージは、「一に足腰、二に文体」」と村上さんは書いています。運動しようっと。