陰謀論やデマに不安を感じる人に「安全」と言っても伝わらない理由_img0
 

新型コロナウイルスの感染拡大によって不安心理が高まっているせいか、このところネットを中心に陰謀論やトンデモ科学が横行しているようです。災害や経済危機が発生するとデマや陰謀論が飛び交うことは歴史が証明していますが、人は同じ行動を繰り返してしまうようです。陰謀論やトンデモ科学に惑わされないためにはどうすればよいのでしょうか。

 

昔から陰謀論やトンデモ科学を信じる人は一定数存在していましたが、普通の人から見ると、あまりにも非現実的な話題であることから、社会に大きな影響を与えてはいませんでした。しかしコロナ危機のような事態が発生すると、個人の生命や安全が直接、脅かされますから、普段なら陰謀論やトンデモ科学の影響を受けなかった人まで信じ込んでしまうことが十分にあり得ます。

最近はワクチン接種がコロナ終息のカギを握っているため、ワクチンに関するトンデモ論が活発です。ワクチンを接種すると「新型コロナに罹患する」「遺伝子が書き換えられてしまう」といった話が出回っているようですが、当然のことながらそのようなことは一切ありません。

こういった話の難しいところは、ワクチンの性質上、一定確率で副反応があり、ごく希に重篤な症状に陥るケースがあることです。科学の世界では100%安全ということは原理的にあり得ませんから、専門家はリスクはゼロではないと説明せざるを得ません。しかし極端に解釈する人は「やはり危険だ」と理解してしまいます。危険だという思い込みがあると、それに合致する情報をネットで見つけ、無意識に飛びつくことになります。これがトンデモ論にハマってしまうメカニズムです。

ワクチンを極端に怖がる人に対して、一部の人は「非科学的だ」「インチキだ」といって罵声を浴びせていますが、こうしたやり方は決して問題解決にはつながりません。なぜなら「ワクチンは安全だ」と声高に叫んでいる人も、ある種の思い込みであり、極端に怖がっていると同じような精神構造だからです。

繰り返しになりますが、ワクチンには一定の副反応があります。しかしながら、それはごく希にしか発生せず、圧倒的に接種する効果が大きいですから、ワクチンは接種すべきというのが合理的な結論になります。しかし、ごく希とはいえ副反応が発生するのは事実であり、しっかりと科学を学んだ人であれば「絶対に安全だ」とは断言できないはずです。

原発事故をきっかけにした放射能汚染についても似たような状況が散見されました。

 
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