コロナ禍で仕事も遊びも人と会う機会がめっきり減ってしまいました。出張も旅行も推しの活動も海外遠征のお預け状態が続いています。そんななか、実は頼りになるのがVRテクノロジーなのかもしれません。SF映画のような世界が体験できるのです。しかも、もはやそれは未来の話ではないのです。

そこで、テックに弱いながらもエンタータイメントの話なら何でも飛びつく筆者の“はせとも”こと、長谷川朋子がミモレ編集部の“バタやん”こと川端里恵と共に、スマホアクセサリーなどを手掛けるトーモ(東京・港)の社長で、XRメタバースマーケティング会社を新たに立ち上げた、“ぴちきょ”こと東智美に、「VR」の新しい仕事と遊びをあれこれ聞きました。

第1回目の座談会は3月に開催されたアメリカの音楽と映画、ITの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト)」で作られた仮想空間「XRワールド」の体験をもとにVRは何が楽しいのか?を探っていきます。

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ぴちきょ(東智美)
Web・グラフィック制作を主要事業とした株式会社トーモの代表取締役。「日経クロステック」ほか雑誌/WEBの連載や「FNNプライムニュースα」の海外テックイベントのレポーターなどを務める。
2021年、有志と共にXRメタバースマーケティングを生業とする株式会社往来を設立。著書に『仮想空間とVR』がある。

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はせとも(長谷川朋子)
コラムニスト・メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティー、ドキュメンタリー番組制作事情を解説する記事多数執筆。
2021年のSXSWをきっかけにVRアバターによる取材活動も新たに挑戦中。

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バタやん(川端里恵)
ミモレ編集部きってのガジェット・テック好きエディター。2018年にはテキサスのSXSWに参加。VR用のヘッドセットを購入以来、ヴァーチャルダンスゲームにハマっている。

 


海外の展示会にも自宅からバーチャル参加!リアルより良い点とは?


バタやん:今日は皆さん、お集りいただきありがとうございます。先ほどはVRヘッドセットを被りながら、お互いアバターになって、ソーシャルVRの世界で会えましたね。
 

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ソーシャルVRの空間でアバターとなった3人。(左から)カメラを構えるぴちきょ、マイクを向けるはせとも、インタビューを受けるバタやん。


VRとは……ヴァーチャル・リアリティ(仮想現実)のこと。現実の疑似体験ができることからそう呼ばれている。XRはVRやAR(拡張現実)などのテクノロジーの総称。このXRで作られたデジタル上の新たな世界を「仮想空間」または「ミラーワールド」、「メタバース」などと表す。
 

はせとも:ぴちきょさんとはSXSWのXRワールドで連日のように会っていたんですよ。アバターでまさか取材ができるなんて。夢のような体験でした。

ぴちきょ:普段から私はVR上で遊んでいますが、海外展示会の空気をVRの世界でも味わうことができたのは、エポックメーキングでした。海外展示会って、会ったことのない人との会話や交流から新しいビジネスの繋がりが作れるもの。でも、まだまだVRの既存のカルチャーの中ではそれはあり得ない。若干、閉鎖的というか。だから、SXSWではビジネス文脈の中でVRツールを使って、出会う仕掛けが作られていたことに意味があったと思います。
 

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SXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト)とは……音楽、映画、ITなどジャンルを越えて、世界中から約40万人の参加者が集まるクリエイティブの巨大イベント。米テキサス州オースティンの街を会場に、毎年3月の開催時期はお祭り騒ぎになる。今年はコロナ禍によりオンライン開催に。一部のプログラムがソーシャルVRプラットフォームの「VRChat」内に「SXSW online XRワールド」が作られ、アバター参加者で賑わった。

 

オンラインイベントにもZoom飲みにも飽きてきていた


はせとも:確かに。海外展示会取材をしている身としては、今のようにオンラインとオフライン開催がハイブリッドになっていく流れは歓迎だけど、単なるオンライン開催では刺激が足りなくなっている。PC上だけの取材も知り合いとのZoom飲みもいつでもできて便利で慣れてきましたが、一歩踏み込んだものを欲している自分もいて。新しい出会いの広がりに欠けていたことに改めて気づきました。

ぴちきょ:PCやスマホの画面上でのコミュニケーションは均一化されてしまうから……。

はせとも:SXSWのXRワールドでは特に音楽ライブ体験が素で楽しめました。アメリカ時間に合わせてスケジュールが組まれていたので、ぴちきょさんと日本時間の夜中3時に待ち合わせして、台湾とかイギリスとか、いろいろな国のライブに出かけましたね。

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ライブ会場で待ち合わせして、ビール片手に一緒にコール&レスポンスで盛り上がることも可能。

ぴちきょ:そうそう。眠たい目をこすって、起きて。あの待ち合わせるっていう体験もドキドキで。

はせとも:バーチャルの会場で無事に会えたら、一緒にライブを見ながら、エアビールも飲んで。「このアーティストが気になる」「このサウンドがいいね」とか、お喋りしながら一緒に楽しんで。リアルでもそれを含めた体験が楽しいわけで。

ぴちきょ:Zoomの場合は相手がポンと画面上に現れるけれど、VRだと、人混み(アバターたち)の向こうからパーっと相手がやってくるっていう違いがあります。「あーはせともが来た来た」となるから、それがまさにリアルな感覚に近い。そんな風に現実に代替する行為が多い。体験をゲーム設計していることが、とにかく素晴らしかったです。

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ヘッドセットから流れる音は3D設計。人物との距離が近づくと、音声も近く聞こえるため空間的な親密さもリアルだ。真ん中に座ったバタやんの耳には、右からはぴちきょの声、左からはせともの声が聞こえる。
 


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