元夫からの「リーガルハラスメント」で住む場所も仕事もお金も、精神的な安定さえも失った話_img0
 

自らもDVサバイバーでシングルマザーのソーシャルライター・松本愛さんが、DV当事者の「声」を丹念に拾い上げ、日本のジェンダー意識の遅れの実態をレポートします。公私ともにパートナーだった男性と授かり婚したBさん。しかし結婚後、夫の自己破産歴と、極度のマザコンであることが発覚し、離婚話が持ち上がります。係争は延々続き、住む場所も仕事もお金も、精神的な安定さえも失ったBさん。やっとの思いで離婚が成立したものの、次にBさんを待ち受けていたのは、元夫からの子どもの面会交流審判の申し立てでした。

※個人の特定を避けるためエピソードには脚色を加えている場合もあります

 


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夫からの呪いの言葉で子育てへの⾃信が持てない


子の引渡し審判・保全処分(=審判前の仮処分)・監護者指定審判と来て、不調に終わった離婚調停からの離婚訴訟。訴訟中には「Bの結婚前の分も含めて貯金を半分よこせ」「面会交流は好きにさせろ、母に会わせたい」など理不尽な主張を続けて係争を長引かせて見たかと思えば、手のひらを返して条件なしでの協議離婚を呑まされる……。相手からの執拗なリーガルハラスメントに晒されてきたBさんは精神のバランスを崩すまでに追い込まれていました。

調査官調査を経ての監護者指定の判決などでは「Bさんの様子は極めてまとも、子どもとの愛着形成にも問題なし。相手はBさんがヒステリックだと主張しているが証拠の動画をもってもそれは全く認められず、むしろ、申立人である元夫自身がヒステリックであったことを示すBさん側の証拠を採用する」といった内容であり「違法な連れ去りではない」と明記されていました。

しかし彼女は自責の念から逃れられないでいました。

自らの親の資質に自信が持てなかったから、いや、結婚生活とその後のリーガルハラスメントを通じ元夫から「お前が悪い」「人格に問題がある」「監護者として不適格」と言われ続け、自信を持てないようにさせられていたからです。

だからこそ彼女は相手方から執拗に主張された“子どもへの虐待”という呪いの言葉で、子供に接しながらも自身の親としての資質を疑い続けるよう仕向けられてしまいました。

元夫からの「リーガルハラスメント」で住む場所も仕事もお金も、精神的な安定さえも失った話_img1
 

挙句、係争の間に行った直接協議では「俺と一緒に作ったものが世に出ててよく気持ち悪くないな。俺なら気持ち悪い。後悔しろよ」という暴言により、⼦どものことまでも否定されたかのように感じてしまったBさん。

精神的にも肉体的にもボロボロ。日々の子育てをこなし、DV被害のケアのための通院や相談、子どもの通院に追われ、フルタイムでの就労は不可能。そんな状況でも、もちろん元夫からの面会要求がなくなるわけではありません。

子どもはまだ幼く、彼女が連れて行かないと面会交流は成立しないけれど、元夫とやりとりをするだけでBさんは体調を崩して寝込んでしまう。そして面会交流支援の第三者機関の利用はできず、また面会に同席するであろう義母も、同居時から酔っ払って無理やりBさんから子どもを抱きあげては落としそうになるような場⾯もあり、信用ができない。

しかしそれでも、離婚訴訟中はBさんが委任していた弁護士がBさんの代わりに立会人となって、数回は面会交流を実施していました。

 
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