「ハナミズキ」などの大ヒット曲を持つアーティストの一青窈(ひととよう)さん。三人の子どもを育てる一青窈さんは、新型コロナワクチンのワクチン接種に不安を抱えていたといいます。一青窈さんは、医師の山田悠史さん(老年医学・緩和医療科医)や、稲葉可奈子さん(産婦人科医)らと何度か話すことによって、ワクチンへの不安を解消できたそう。一青窈さんの不安はどのように解消されたのでしょうか。三人のお話をミモレで再現してもらいました。

 


一青窈(以下、一青) 重篤な副反応は、こういった人は出やすいといったことがあるのですか?単に宝くじに当たるような確率の問題なのですか?

稲葉可奈子(以下、稲葉) 重篤な副反応がどういう人に出やすいかわかっていれば、そういう人は接種を控えようということになります。例えば、現状では、一回目で重いアレルギー反応が出た方は、ワクチンを打つことを避けたほうがいいということになっています。

こういう方は、ワクチンを打ちたくても打てません。こうなると、ワクチンを打てる人がワクチンを打ち、社会全体として、ワクチンを打てない人も守っていくというのが、「集団免疫」という言葉の意味です。山田先生、補足してもらえますか。

 

山田悠史(以下、山田) 「集団免疫」については、おっしゃる通りです。ワクチン接種の選択は、社会の皆を守るために、自分がワクチンを打ってもらい社会を守ることに貢献するか、他の人に社会を守らせるか、という選択にもなるということですね。

また、副反応が誰に出るかというのは我々もとても関心があります。それが予測できれば、より安全にワクチンを広げることができます。仮に、このワクチンの副反応は二十歳未満の女性には出やすいとわかれば、二十歳未満の女性にはこのワクチンを使わないということができますよね。そうすれば、副反応をゼロにできるかもしれません。

でも、残念ながら実際はそれがわからないので、そのリスクをとりながらワクチンを広げるということになっています。

一青窈さんのたとえ話にならうと、3億円のジャンボ宝くじで、一等3億円が当たる可能性はかなり低いですよね。私たちは宝くじを買うときに、3億円は当たることはないだろうと思って買うと思います。実際に3億円が当たる確率くらいでしか、重い副反応の出る可能性はありません。厳密には数字は異なりますが、そのくらいの感覚なわけです。

一方で、コロナにかかる確率はどれくらいかというと、これから1年間、東京に暮らしていれば、100人に一人くらいの確率で感染するかもしれません。100人に一人だったら、まあまあ当たりそうですよね。
さらに、これまでは重症化が起きるのは高齢者が多いと言われてきましたが、ここにきて、若い方にも重症者が見られるようになってきています。ウイルスが変異を獲得していく中で、高齢者を守っていればいいという状態ではなくなるかもしれません。