いつの世も母と娘の関係は一筋縄ではいかないものです。どなたに聞いてもさらっと聞き流すことのできない物語が必ずあります。

私自身、娘ができて初めて気づいたのは、彼女が自分とはまったく違う個性を持ち、まったく違う人生を歩む存在であることを、心から理解し尊重することの意外な難しさ。

思うようにならないことも多く、お互いに悩みながら、心地よい距離感を探し続けています。

最近では、息をしてそこにいてくれればいい、いつか自分の力で好きなことを見つけ、自分の道を生き生きと歩いてくれたらーーと思うようになりました。

私の役割は、自分が自分を信じる、自分を諦めないことの大切さを伝え、変わらぬ愛情を伝え続けることくらいかなと。あとは、まあまあ美味しいご飯(たぶん)と快適な寝床を提供するぐらい?そう考えています(笑)。

青木さやかさんの小説エッセイ『母』にも、お母さまとの長い確執が描かれていました。青木さんがお母さんを許せない気持ちを吐露するたびに、お母さんの愛を求め続ける気持ちに切なくなる本です。いつかお母さんを許して、青木さん自身が自分を愛して欲しい、と祈るような気持ちで一気に読みました。

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『母』青木さやか著(中央公論新社)

婦人公論.jp連載時から、ざらざらと鬱屈した気持ちを描くのが上手で、リズミカルな筆運びにも本当に驚いていたんですよね。

 

お会いする機会があって聞くと、なんとすべてスマホで書いているとのこと!⋯⋯ 青木さん、もしかして天才ですか?

近々ミモレでインタビュー予定なので、執筆中のエピソードやお母さまとの最後のエピソード、現在のお気持ち、今後の執筆予定もぜひ聞いてみたいです!


そうそう、先週観た舞台、草なぎ剛さん小西真奈美さんが出演する『家族のはなしPART1 2021』では、夫婦役の二人が最後見つめ合って対峙する、その沈黙の時間になぜか涙が止まりませんでした。なんですかね。家族ってだけで切ない。最も近い存在なのに、いや、だからこそ分かり合えないからでしょうか。

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家族のはなしPART1 2021』神奈川芸術劇場KAAT 2011.5.14〜5.30

母と娘、妻と夫、『家族のはなしPART1 2021』には草なぎさん演じる犬も登場しますが、飼い主と飼い犬だってそうかもしれません。近いだけに完全に理解しあえないのが切ない。

言葉があるのに分かり合えないのは人間の永遠のテーマですものね。

ただ、決して自分だけが悩んでいるのではないことをどこかで分かっているといいなと思います。思い詰めないために。自分を責めたらダメですよ〜!とそれだけは皆さんにお伝えしておきたいです。


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