ライターさかいもゆるがアラフォー以上で結婚したカップルへのインタビューを通じて、結婚とは、夫婦とは何かを考える連載です。45歳まで未婚だった男性が41歳の女性と結婚。結婚式は?子供のことは?新婚生活は? 男性側の本音を聞きました。

郁弥さん(仮名)、46歳。元芸能事務所所属だったというのも頷ける、整った顔のシュッとしたイケメン。30代半ばでEDになり自分に自信を失くして結婚をあきらめていたけど、偶然出会った4個下のひろみさん(42歳)と去年結婚。

EDながら、3年ぶりに交際したひろみさんに45歳でプロポーズし、無事OKをもらえた郁弥さん。

40過ぎた男が今更結婚式なんて、と式は挙げたくなかったそうですが、友人が多いひろみさんは「披露宴がやりたい」と希望。結局、有名レストランで70人ほどのゲストを招いて挙式したのですが、ほぼ全員、ひろみさん側のゲスト。郁弥さんは知り合いに結婚式したことを誰にも言わなかったのであります。

 

郁弥さん:結婚式をやると決めてから左腕がずっと痛かったのですが、式が終わった途端に治ったので、「精神的なものだったんだ」と気づきました(笑)。最初は、車を運転する時間が増えたからかなと思ってたけど、違ったんですね。

ところで、気になるのはやっぱり、結婚後EDはどうなったのか、ということ。恋愛コラムニストとして日頃から「結婚においてセックスの相性は超・重要」と提唱している私にとっては、EDの旦那さんとの結婚ってどんな感じか、ものすごく興味がありました。

 

実は、42歳のひろみさんは現在不妊治療中。性交渉なしでの妊娠を試みていると言います。が。郁弥さんは、「子供は要らない」と思っているそう。

さかい:え……。それって、ものすごく重大な価値観の相違じゃないですか?

郁弥さん:そうですよね〜。でも、金銭的なことや体力的なことを考えると、今から子供を持つのはキツいなあと正直考えてしまいます。

さかい:奥様は郁弥さんの考えを知ってるんですか?

郁弥さん:もちろん。だけど、今僕は要らないとは言ってるけど、いざ子供が生まれたら可愛がるだろうっていうのを彼女はわかってるみたいで、あまりそこは気にしてないみたい。それに、結婚して子供が欲しいというのは自然な欲求だと思うので、「ダメ」とは言えないです。

不妊治療って体力的にも精神的にもとてもしんどいと聞くのですが、肝心の夫が協力的でないと、孤独な戦いになってしまいそう。

郁弥さん:治療中の一喜一憂を共有できないのは辛いとは言っていましたね。

ひろみさんにとっては、夫婦生活がなくても、子供ができることで夫婦の絆が強まればいい、と思ってらっしゃるのでしょうか。

とは言え、セックスがなくても夫婦関係は円満(とは、郁弥さんの意見ですが)。「新婚生活はとっても楽しい」と、笑顔で語ってくれました。

さかい:郁弥さんは45歳で初めて他人と暮らしたんですよね。実際暮らし始めてみて、いかがですか?

郁弥さん:慣れるまでは半年くらい時間がかかりました。僕は朝型で妻は夜型、生活リズムも違うんです。だから出かけるときに支度するのも、トイレを使うのも気を使う。家事も、今まで僕は実家暮らしで母親に全て依存していたので、ほとんど何もしたことがなかった。でも今は風呂掃除や洗い物、朝ごはんを作るなど、僕もやるようにがんばっています。結婚生活で初めて、「今まで家の中が綺麗に保たれていたのは、誰か(母)がやってくれていたからなんだな」と気づいて。これからは、ふたりでやらなきゃいけないんだ、ふたりで生きて行くんだな、という実感が生まれました。

さかい:結婚してから他に何か変わりましたか?

郁弥さん:付き合っていたときより、結婚してからの方が彼女のことを好きなんです。元々、仕事ができる彼女のことを尊敬していたのですが、家では、そんな彼女の意外にドジなところが見れたりして、「可愛いな」って愛着が湧いたり。知らなかった一面を知ることで、ますます愛情が深まっている感じです。

お互い素でいられることにホッとする、と郁弥さん。

とは言え、ケンカをすることも。

郁弥さん:大体、彼女の言い方に僕がカチンと来て、「もういい」って一方的に怒る、というパターンが多いです。基本的には、僕が未熟なのが原因ですね。気分屋ですぐにヘソを曲げたりする性格なので。短気で、すぐカッとして物に当たったりするところがあるのですが、父親もそういうタイプですごく嫌だったことを思い出して、なるべくやらないように気をつけています。

機能不全家族で育ったアダルトチルドレン傾向のある郁弥さん。人よりも遅く手に入れた結婚生活ですが、同じことを繰り返さないように努力しているのがお話からは窺えました。年下のひろみさんが、気難しい郁弥さんを上手く操縦しているのかなあ、という印象も。セックスがなくてもいい、というのも、もしかしたら、40を過ぎてからの晩婚だからこそ受け入れられるスタイルなのかもしれませんね。

イラスト/いとうひでみ
構成/川端里恵(編集部)

 

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