フリーアナウンサー馬場典子による「言葉」にまつわるコラム新連載。知っておくと便利な言葉、使い方に気をつけたい言葉など、気持ちが伝わる“言葉づかい”のヒントをお届けします。
今の「ヒルナンデス‼︎」の前身の「DON!」という番組を担当していたとき、
ベランダとバルコニーの違いは?
カフェラテとカフェオレの違いは?
チョッキとベストの違いは?
など、身近な言葉の疑問を解消する企画がありました。
配偶者の呼び方についても取り上げたのですが、由来を紐解くと、相手への敬意に違いがあることが分かりました。
日ごろの感覚で丁寧な順に並べると、
主人、夫、旦那、亭主。
だと思うのですが、
由来を鑑みて敬意が高い順に並べると、
旦那、亭主、主人、夫。
となるのです。
旦那の語源は、仏教発祥の地、古代インドのサンスクリット語で、お布施を意味する「ダーナ」。今では砕けた印象を受けますが、実は相手への敬意を伴う行為が語源となっています。
亭主は「家の主」を意味しますが、「亭」の字には、旅館、料理屋、茶席、東屋など「人の集まる建物」という意味があり、強いていえば、次の主人よりも多くの人から敬意を持たれる呼称のようです。
主人も亭主同様「一家の主」ですが、他に「自分の仕えている人」という意味もあるため、主従関係がハッキリしている言葉と受け止められているようです。
夫は、成人を表す象形文字に冠のかんざしを表す「一」を付けて、「成人男性」を意味するようになったそう。由来から考えても、夫が一番フラットです。
ドラマでも現実でも、妻が夫の愚痴を言うときは、旦那や亭主と呼ぶことが多い気がするので、現在は言葉の立場が逆転しているところが面白いですね。
または、愚痴も愛情の裏返し、と捉えることもできて、興味深いです。
ちなみに「亭主」はお茶席の主催者のことも意味しますが、女性の場合でも「亭主」。性別に関係なくそのまま使われています。
夫婦は対等、男女平等、ということで昨今敬遠されがちな「主人」も、厳密には男女の区別のない言葉だったようです。
さて、由来を知ると、友人の配偶者をどう呼んだらいいか、という悩みが(笑)。
若い世代は「夫さん」と呼ぶこともあるそうですが、私は少し抵抗感が残るので、直接の上下関係がないと思われる「旦那さま」にしています。
そして、立場や肩書きよりもその人自身に興味があるので、より近しい友人のパートナーの場合は、名字にさん付けしたり、お名前やあだ名で呼んだりしています。
皆さんは、ご友人のパートナーをどのように呼んでいらっしゃいますか。
来週は、女性配偶者の呼び方について考てみます。
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