なぜ「ママと息子のお泊まり」プランが気持ち悪いのか_img0
 

先週、某有名ホテルリゾートの「ママと息子の初めてのお泊まりデート」という名前の宿泊プランがTwitter等で一部母親たちの間で炎上していました。リゾート側が炎上に気付いてか、プランをすぐに削除したので、特段これ以上企画者を責めたくはないのですが、こうした炎上が繰り返される背景として、何が悪かったのかを分かっていない人が多いのではと思うので、今回の件について少し解説してみたいと思います。

 


「母と息子のデート」的な描写は、某自動車会社のCMでも見られます。今回炎上したリゾートも以前からこのようなプランを販売し、雑誌などでも特集していたようです。つまり、今にはじまったことではありません。

これまでもこの構図に疑問を呈する人はいたと思います。2人で出かけるのは「母と息子」(「父と娘」のケースも同じく)という風にジェンダーを固定し、とりわけそれを「デート」と呼ぶことに違和感を覚える人は少なくないでしょう。とはいえ、CMであれば「母と娘」や「父と息子」が出てくることも多いでしょうし、まぁ「デート」も比喩だよね、そういう家族もいるかもね、という程度で受け流せる人も多いと思います。

それに対し、今回の宿泊プランの圧倒的な気持ち悪さはどこにあったのか。1つは、やはり「初めてのお泊まり」で「ママをエスコートする」等、恋人関係を彷彿とさせる点。お揃いのパジャマ姿の女性と男の子がベッドに入っている写真もありました。「父と娘に置き換えたら、その気持ち悪さが分かるのでは」という指摘がありましたが、いずれにしても性愛関係を連想させるのは、多くの人には刺さらずむしろ不快感をもたらすと思います。

そしてもう1つは、「ママをキュンとさせる」ために、ママをエスコートする方法を息子にホテルスタッフが「レッスン」をしてくれるという点だったのではないかと思います。

「息子が彼氏みたいな存在」と言う母親は一定の割合いて、個々人の関係性においてそのように表現することは自由です。が、ホテルが、子どもを彼氏のように教育することを指南する。しかもママを「キュン」とさせるために、CMに出てくる子役ではなく、生身の顧客の子どもが頑張らなければならない。私はここに大きな違和感を覚えました。

 
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