インフルエンサー真柴がそのままでいられる相手


けれど、真柴は駿に一直線。駿が、「(葉山は)多分マメシバ真柴のこと、好きだよ。だから、俺はいいよ」と言っても、「黙れ!そうやってすぐ手を離す」って怒ったり。「なぜ揺れないんだろう?」と頭にクエスチョンマークが浮かびましたが、駿の隣で幸せそうにしている真柴を見ると、「着飾らなくても側にいることができる相手」を求めていたのかもしれないと気付きました。

駿とは、すっぴんで髪がボサボサだって普通に喋ることができる。けれど、着飾る前に葉山と会ってしまった時には、咄嗟に顔を隠していたシーンがありました。「好きな人の前では可愛くいたい!」と思うのは乙女心で、「次のデートでは何を着ていこうかな」「メイク変えたの気付いてくれるかな?」と悩むのは恋愛の楽しいエッセンスでもあります。でも、ある程度歳を重ねると、「そのまま」でラクな相手を求めるようになるのかもしれません。常にアンテナを張っているインフルエンサーの真柴なら、なおのこと。

 

また、葉山は彼女にとって「白馬の王子様」的存在でもあります。葉山に憧れ、故郷の初島を出て東京に進出した真柴には、「彼の会社に入ったら、彼といたら、いつか自分も輝くことができるかもしれない」という気持ちもあったことでしょう。実際、バイヤーを目指している彼女にとって、葉山は恰好の相手なはず。仕事の技術を学ぶこともできるし、一緒に夢を追うことだってできる。

真柴がもし、葉山を選んだら、世界中を飛び回る彼について行くことになるでしょう。彼が持つ大きな夢を、自分の夢にして。でもそれは、“自分の足で歩いている”とは言えないのかもしれません。

対して駿なら、頑張る真柴の隣に座り「側にいるよ」と語りかけてくれる。同じフィールドで協力し合うことはできないけれど、「お互い頑張ろう」と同じ立場で、同じ目線で励まし合うことができる。葉山には“与えられる”ものが多かったけれど、駿との恋は“与え合う”ことができるんです。“与え合う恋”の素晴らしさを知ったからこそ、真柴は葉山に気持ちが揺れることがなかったのかもしれない……。