若く見せることが、美しさの正解なのか?


すると必ず言われるのが「そもそもクマなんてあったっけ?」という一言。ええ、わかっています。他人はそれほど私の顔を見ていないのです。

しかしそう言われると、こんな大変な思いまでしてやる必要あったのか……?と思わずにはいられません。決して安くない手術代金、壮絶なダウンタイム、それに加えて顔面神経麻痺。心も体もすっかりボロボロです。

前編で触れたように、私は、年を取るのが怖いという思いが非常に強いです。そのせいで「できるだけ若く見られるにはどうしたらいいか」ということばかり考えてしまうのですが、今回の一件もあり、ふとこう考えるようになりました。

若く見られることは、本当に美しさの正解なのだろうか?と……。

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35歳で止まってしまった人生


加齢コンプレックスの私が、少し前にある人から言われた言葉で、強く印象に残っているものがあります。

 

その方は有名なスピリチュアルカウンセラーなのですが、年をとることが怖いという思いを私が正直に打ち明けると、こんな風に聞かれました。

「これまでの人生で、一番幸せだった時期はいつですか?」

咄嗟に私は、「4年くらい前です。35歳くらいの時が一番幸せでした」と答えました。

するとその方は私に向かってこう言ったのです。

「なるほど。あなたは、35歳の時のまま人生がストップしてしまっているんですね。ちゃんと今を生きている人だったら、過去ではなく“今が一番幸せだ”と答えますよ。あなたは35歳で止まっているから、そこから自分が年を取っていくことに違和感があるんでしょう」

その言葉に、ハッとしました。

現在バツイチの私。結婚式を挙げたのが35歳のときだったので、「一番幸せだった時期は?」と聞かれた瞬間、あの思い出が瞬間的に脳裏をよぎって思わずそう答えていたのです。

そこからの私は、少し生きやすくなりました。

加齢コンプレックスの原因が判明したからでしょうか。あるいは「今を生きよう」ということを意識的に考えるようになったからかもしれませんが、年老いることへの抵抗がずいぶん減った気がします。

それ以降は、他人から年齢を聞かれても躊躇なく答えることができるようになりました。

もしかしたらこれって、外見的なことでも同じことが言えそうですよね。「今の自分が一番好き」と思えれば、加齢だって怖くないし、年とともに変化していく自分の見た目も受け入れられるのかもしれません。

ですが「今の私が一番」と思いたい一方で、加速するアンチエイジングブームに急き立てられるような自分もいます。

スマホの広告、SNSの投稿、美容オタクの友人の話……。そういったものを毎日のように目にしていくうちに「美しくなるためには、もっと若返らなきゃ」と刷り込まれていっている気がするのです。