万人に有効な健康法はない
また、50歳で高血圧の人にとっては、5年後、10年後の自分自身を心筋梗塞や脳梗塞から守るために塩分制限が重要だということになりますが、同じ高血圧であっても90歳の人が10年後の脳梗塞に悩む意義はさほど重要ではなく、塩分制限はむしろ食欲を妨げる害の大きな食事法ということになるかもしれません。
しかも、食塩の構成要素であるナトリウムの値が下がってしまっているようなケースでは、塩分制限は状況を悪化させ、逆に塩分付加こそが健康を維持するのに重要となることもあります。
このように塩分の話一つとっても、個々人によって健康に対する意味合いが大きく異なるのです。
しかし、残念ながら巷にあふれる健康情報はそれを区別してはくれません。本来は個別性が高い「健康」をまとめて、「糖質制限で体も心も健康に」「ケトジェニック健康法」などと、まるで万人に有効なように語られてしまいます。このような食事法が健康につながるというのは、ごく一部の人には真実かもしれませんが、多くの人には残念ながら真実とは言えません。
また同時に、こういった食事法には必ずリスクもあるということを忘れてはいけません。やせのある人が誤ってケトジェニック健康法をはじめてしまえば、重大な栄養欠乏を促進してしまう可能性があります。
一見、魅力的な「健康法」に無考えに飛びついたり、自分に合った健康法を別の体を持つ友人に勧めたりすることは間違いのもとです。
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