ビタミンDの欠乏は世界的に増加傾向
欠乏しやすいビタミンとして多く報告されているのは、実はビタミンDです。話題にあがりやすいビタミンではないので、少し意外かもしれません。
日本からの大規模な報告がないので、日本人における正確な頻度はわかりません。しかし、米国ではビタミンD欠乏の人が成人人口の4割にものぼること、また世界的にもビタミンD欠乏は増加傾向にあることが報告されています(参考文献2)。
これらの結果から、日本人でも多くの人に欠乏があるのでは、と推測されています。このビタミンDは他のビタミンと異なり、日光を浴びることが活性化のプロセスに必要なので、日照時間が短い冬の時期に、または夏でも室内で過ごす時間が多い方は欠乏するリスクがあると言えます。
ビタミンDといえば、骨の健康に関わるという知識をお持ちの方は多いかもしれませんが、実はその他にも免疫に関わるなど、様々な働きが知られています。体の機能という点で言えば、ビタミンD欠乏と転倒の独立した関連性も知られています(参考文献3)。
もちろん、「ビタミンDを補充すれば転倒が減る」という単純な話では必ずしもないものの、ビタミンDの欠乏があれば、ビタミンDのサプリメントを飲むことは体の維持にとっても理にかなっていると言えます。
このため、比較的外出の機会が減ってしまっており、食も少し細くなってきているという場合に、ビタミンD欠乏を考え、あれば補うというのは考えうる対策の一つとなります。
これまで、栄養やサプリメントについて見てきましたが、これを機会に、ご自身の栄養や食生活について振り返っていただくのもいいかもしれません。ここまで書いてきたように、万人にあった食事法というのは存在せず、個々人にあった方法を見出していく必要があります。
安易な「食事健康法」に飛びつかず、そのリスクについてもしっかりと目を向け、利点と欠点をしっかりと天秤にかけるプロセスが的確な判断につながります。最後はありきたりな言葉になってしまいますが、個々人にとってバランスのとれた食事、そして喜びを感じられるような食生活が、私たちにとっての「健康な」栄養なのだと思います。
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参考文献
1 Hemilä H, Chalker E. Vitamin C for preventing and treating the common cold. Cochrane Database Syst. Rev. 2013; 2013. DOI:10.1002/14651858.CD000980.pub4.
2 Forrest KYZ, Stuhldreher WL. Prevalence and correlates of vitamin D deficiency in US adults. Nutr Res 2011; 31: 48–54.
3 Bischoff-Ferrari HA, Dawson-Hughes B, Willett WC, et al. Effect of Vitamin D on Falls: A Meta-analysis. J. Am. Med. Assoc. 2004; 291: 1999–2006.
写真/shutterstock
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