オファーの決め手は“大人と会話ができるかどうか”

2歳の天才歌姫「ののちゃん」を生み出した音楽ディレクターが語るレコーディング秘話と「歌の魂」とは?_img3

 

コロムビア時代から、子ども向け音楽のジャンルで、CDセールスのランキング上位を独占するディレクターだった渡辺さんは、過去の自分の上位作品を今度はキングレコードの自分の作品で塗り替えていきます。
そして出会ったのが“ののちゃん”でした。

「前の会社で関わっていたこともあり、毎年行われる『童謡こどもの歌コンクール』は注目していました。そこで、コンクールの公式YouTubeチャンネルで、ののちゃんが歌っている姿を見たのが最初です。

 

まず、2歳の子どもが人前でこれだけ歌える、ということに驚きました。そして、録音してみたい! と。ただ、この動画だけではまだ決意できませんでした。どのくらい練習をしてこの完成度なのかわからなかったからです。
また小さな子どものレコーディングで大切なのは、“大人との会話が成り立つかどうか”です。歌唱が上手くても、こちらのリクエストが通じなければ、プロとしてのレコーディングは難しいんです」

 

ののちゃんは年明けの1月4日にYouTubeチャンネル「ののちゃんねる」を開設。アップされていた日頃の歌唱の様子を見たのがオファーのきっかけに。

「コンクール動画のパフォーマンスが本物であることを確信しました。またお母さんとのコミュニケーションもしっかりとれているのを見て、これならアルバム録音が可能かもしれないと。天性の歌唱力と集中力、人前でもちゃんと歌えること、大人との会話力、何よりも”歌いたい”という気持ち……これらを兼ね揃えている2歳の子どもは、これまで見たことがありませんでした。
これはレコード史に残すべき歌声なのでは? と思い、乃々佳ちゃんの今の歌声を残しませんかと童謡コンクール事務局を通じてオファーしました。
子どもの歌声は数ヵ月もすればすぐに変わってしまいます。そんなののちゃんの”今しか聞けない歌声”をレコードしたいと思いました」