どうして2歳であんなに上手に歌えるのか?
ののちゃんが歌うのを見た人から「まだ2歳なのにどうしてあんなに上手に歌えるのか?」とよく訊かれるようになったという渡辺さん。
アルバムには、その答えが見つかるヒントが散りばめられています。
「ののちゃんとお母さんはレコーディング以外でも気が付くと歌を歌っていました。
お母さんに歌ってもらう歌が好き、お母さんと一緒に歌っている時が楽しい。その記憶の積み重ねが、ののちゃんにとって歌=幸せな時間を作っているのでしょう。
まだ文字が読めないののちゃんは、絵本やお父さんの手作りイラストカードを見ながら、情景を思い浮かべて歌詞を覚えたそうです。
お母さんに伺うと普段から絵本の読み聞かせをたくさんされているとのこと。想像力がとても豊かだということは、レコーディングでもよくわかりました。
例えば「いぬのおまわりさん」を歌う時は、歌詞にある「泣いてばかりいる」こねこちゃんのことを考えて泣きそうになってしまうほど、歌の世界に入り込みます。
また、「ぞうさん」を歌った時は、2番を歌うのを途中でやめてしまいました。
『歌詞を忘れちゃったかな?』と聞くと、『お父さんも好きだから』と答えたのです。
ハッとしました。2歳の女の子に“歌のこころ”を教えられました。
大切なのは親子のスキンシップ
音楽ディレクターの仕事一筋、しかも「子どもの歌のジャンルにこの人あり」と言われてきた渡辺さんには、社内結婚したレコーディング・エンジニアの夫と、ふたりのお子さんがいます。
子育てについて語れるような母親ではないという渡辺さんですが、自分が手掛ける音楽の向こうにいるたくさんの子どもたちの気持ちを考え続けてきたのは間違いありません。
「自分に子どもが生まれた時、「北風小僧の寒太郎」の作曲家、福田和禾子先生が『子どもはとにかく抱きしめて育ててあげればいいのよ』と教えてくださいました。
家事は夫まかせ、レコーディング現場から朝帰りが常習で残念な母親でしたが、福田先生の教えだけは心にとめて、自分の子どもと接してきました。
仕事柄、遊び歌はたくさん知っていたので、短い時間でもぎゅっと触れ合える遊び歌はよく歌って遊びましたね。
遊び歌のCDもたくさん作りましたが、親子の楽しいひとときが生まれますようにと、いつも最善を尽くして制作してきました。
ののちゃんとお母さんを見ていると、スキンシップが素敵だなと思います。
写真集『ちいさいののちゃん』の撮影にも立ち会わせていただいたのですが、その日会ったスタッフの大人たちの中でも、ののちゃんは伸び伸びとパフォーマンスしていました。
お絵かきをするシーンがあったのですが、ハウススタジオの外まで聞こえるくらいの大きな声で「どんな色がすき」を歌いながら描いていて、本当に楽しそうでした。
ののちゃんは、初めて会う人たちともコミュニケーションを取ることができます。
それはご両親が、親だけでなく他人との信頼関係も作れるように育てていらっしゃるからだと思っています。
お母さんは、ののちゃんのおしゃべりからイマジネーションを広げる言葉かけがとっても上手なんですが、あまりに親子の会話が楽しかったので、急遽アルバムにその一部を収録したほどです」
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