ミモレのコミュニティ〔ミモレ編集室〕のメンバーが、“SDGsネイティブ”のZ世代(概ね1996年頃〜2015年頃生まれ)が牽引するプロジェクトを取材し、私たちが今できることについて、一人称の問題意識で考えます。
毎日のおやつにバレンタインにと私たちの日常に身近なチョコレート。その主原料であるカカオ豆の約8割は、アフリカのガーナから輸入されています。しかし、ガーナのカカオ農家は低賃金なうえ、政府による均一価格での買取のため競争力がつかず、貧困から抜け出すことができません。そんな中、チョコレートブランドを立ち上げた日本の大学生が、ガーナにチョコレート工場を建てました。
もうひとつご紹介するのは、アフリカのスラム街の貧困に衝撃を受け、それをきっかけにビジネスをスタートさせたアパレルブランド。アフリカの伝統生地を取り入れるなど現地に根づいた雇用を創出し、ビジネスの利益をアフリカ支援に還元させる経営手法で成功をおさめています。
どちらにも共通するのは、エシカルに興味がない人でも手に取ってしまうおしゃれさと品質の高さ。気に入ったチョコやバッグを買うだけで、私たちにも手軽にアフリカ支援ができるんです。
日本人大学生がガーナに建てたチョコレート工場
ガーナのカカオ農家は、カカオ樹の老齢化や労働者不足、気候変動による収穫高の減少などによって収入が安定せず、貧困から抜け出すことができません。そして家族単位の小規模な農家にとって、子どもたちは重要な労働力。学校に行くことができず、危険な労働に従事している子どもたちもいるのです⋯⋯。
ガーナのカカオは政府によってすべて同じ価格で買い取られる仕組み。安定した収入を得られる一方、質ではなく量に応じた金額での買取となるため、「モチベーションの低下や機具等の不足、不正をする生産者などによる品質の低下→買い手の減少→貧困化が進む」という悪循環が深刻です。
そんなガーナのカカオ豆をめぐる現実に革命を起こすのが、現役大学生・田口愛さんが手がけるチョコレートブランド『MAAHA CHOCOLATE(マーハ チョコレート)』。MAAHAは、ガーナの挨拶の言葉です。
従来のフェアトレードだけでは解決できない課題に、田口さんは、「量から質へと」システムの根本を変えることで向き合いました。
チョコレートを食べたことがないカカオ農家の人々にその味を知ってもらうため、田口さんは現地にチョコレート工場を建設します。自分たちのカカオに誇りを持ったガーナの農家は、徐々に質を意識するように。そして、田口さんは、品質の高いカカオ豆を高価格で買い取る独自の取引システムを確立させたのです。
2020年8月に実施したガーナに新たなチョコレート工場をつくるためのクラウドファンディングでは、あっという間に当初の目標100万円を大きく超える400万円の支援を達成。ガーナの人々の笑顔のためにますます精力的な活動が続きます。
パッケージもおしゃれで手土産やプチギフトにも!
2021年1月に誕生したばかりのMAAHA CHOCOLATE、まずはPaul Stuart青山本店でポップアップショップを展開。バレンタインには、名だたるブランドが出店する西武池袋本店のバレンタインフェア『チョコレートパラダイス2021』に参加し、今では常設販売を行っています。今後ますます注目が集まること間違いありません!
売上げの一部は、カカオ農家の支援だけでなく、マラリアの治療薬などの医療支援、植林活動などの環境保全、雇用創出などの女性支援、IT環境の整備などの教育支援に還元されます。
次は、現地で雇用を作り出しながらアフリカを支援するアパレルブラントをご紹介します。
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